借地権とは?借りているのに売買できるの?価格や地主への承諾料を解説

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不動産の売買対象の一つに借地権があります。

借地権は土地を借りる権利

借地権の売買について知りたいと思っている人の中には、

  • 借地なのに、どうして価格がつくの?
  • 借地権って、借りているはずなのに売買できるって本当?
  • 借地権付きの不動産を売買するには、どうすればいいの?

等々のことを思っている人も多いと思います。

そこでこの記事では、「借地権の売買」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、借地権を売買する際の価格や、地主への承諾料について知ることができます。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.借地権になぜ価格があるのか

借地権とは、土地を借りる権利

貸す権利ではなく、借りる権利です。

土地を借りる権利である借地権は、売買対象となり、有償で普通に取引されています。

例えば、あなたがレンタルビデオ屋からDVDを借りていたとします。

その借りている権利は売買できるのでしょうか?

レンタルビデオ屋で考えてみましょう。

レンタルビデオ屋のDVDの所有権は、レンタルビデオ屋にあります。

そのため、借りているだけのあなたはDVDの所有権を売ることはできません。

もし売るなら、借りている権利を売るということになりますが、そのような権利を買ってくれる人は存在しないのが普通です。

借地権は、土地を借りていますので、借りている人は地代を支払っています。

地代を払っているのに売れるというのが借地権

レンタル料(地代)を払っているのに、売れるのが借地権ということです。

売買と言っても、底地(借地権の設定されている土地)の売買なら分かります。

底地を買った人は、地代収入が入るため、買えば得をするからです。

しかしながら、借地の場合は、購入した人が地代を払い続けることになります。

借地を買う人は、リース料やレンタル料が増えるはずなのに、わざわざお金を出して買うというのは不思議な感じがします。

一方で、借地でも、一等地の土地を激安の地代で借りることのできる権利であればどうでしょうか?

例えば、銀座の土地を激安の地代で借りられる権利があるとしたら、その権利にお金を出してでも買いたいと思う人は出てくるはずです。

地代が高ければ買う人はいませんが、安ければ買うという人も出てきます。

地代にお値打ち感という「経済的な借り得」があれば、その権利には価値は出てくるのです。

また、借地権は、仮に買ったとしても、地主から容易に「土地を返してくれ」とは言われません。

土地の借主(借地人)は借地借家法により、借りる権利が強力に守られているため、一度、借りる権利を得ると、半永久的に借りることができます。

レンタルビデオ屋のDVDのように、期日が来たら返さなければならないものとは異なります。

半永久的に借りられる権利であれば、買っても良いと考える人は増えます。

借地権は、借地人の立場が強く、権利として「法的安定性」があるため、その権利を得ることに価値があるのです。

このように、借地権には「経済的な借り得」と「法定安定性」があるため、借りる権利ですが有償による売買の対象となっています。

ポイントは「経済的な借り得」

ここで、ポイントとなるのが、借地権の価値を決める要素の一つに「経済的な借り得」があるという点です。

リース料、つまり、地代が高ければ、なかなか買手は現れません。

一方で、地代が安ければ「経済的な借り得」があり、買手がたくさん現れます。

買手がたくさん現れれば、借地権の価格は高くなります。

つまり、借地権の価格は、地代が安いほど高くなるという性質があります。

たまに、地代が高いと、それだけ価値があるのだから借地権価格が高くなると勘違いしている人がいますが、その逆です。

地代が高ければ、「経済的な借り得」がないため、借地権価格は安くなります。

その代わり、地代が高いと底地価格は高くなります。

借地権価格が高いときは、地代が安いため、その分、底地価格も安くなります。

借地権価格と底地価格は表裏一体の関係にあり、価格の決定要因は「地代」にあるのです。

尚、借地権売買の対象となるのは、普通借地権と呼ばれる借地権です。

普通借地権については下記記事に詳しく解説しています。

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以上、ここまで借地権になぜ価格があるのかについて見てきました。

では、借地権付きの建物の価格はどのようになっているのでしょうか。

そこで次に、借地権付きの建物の価格について解説いたします。

2.借地権付き建物の価格とは

借地権は、基本的に単体で売買されることはありません。

借地借家法で保護される借地権とは、建物所有目的とした土地の賃貸借であるため、建物と一体の「借地権付き建物」として売買されることが通常です。

駐車場のような土地を借りる権利は、一時使用貸借の扱いであり、借地借家法の保護を受けません。

地主が返してくれと言ったら、返さないといけない権利です。

つまり、「法的安定性」がなく、借りる権利に経済的価値は発生しないこととなります。

有償で売買される借地権は、あくまでも「借地権付き建物」です。

  • 「借地権付き建物」の価格は、「借地権価格」と「建物価格」の合計額となります。
  • 借地権の価格とは、基本的には更地価格に借地権割合を乗じた額になります。

借地権割合の調べ方

借地権割合とは、路線価を調べてみると分かります。

路線価は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で調べることができます。

路線価図のサンプル

路線価図のサンプル

地図から自分の土地の路線価を調べていくと、路線価図の上にA~Gで書かれた借地権の企業と借地権割合の表があることが分かります。

この表に記載されている割合が借地権割合です。

例えば、自分の土地の前面道路に「160D」と記載されていたとします。

この土地の路線価は「160千円/㎡」になります。

一方で、この土地の借地権割合はDですので、表と照らし合わせると「60%」ということになります。

借地権割合が60%の場合、更地価格が5,000万円の土地とすると、借地権価格は3,000万円(=5,000万円×60%)ということです。

路線価の見方については下記記事でさらに詳しく解説しています。

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さらに、この借地の上に、4,000万円の価格の建物が建っていたとします。

すると、借地権付き建物の価格は以下のように計算されます。

借地権付き建物の価格 = 借地権価格 + 建物価格 = 3,000万円 + 4,000万円 = 7,000万円

尚、借地権は頻繁に取引されるものではないため、更地価格に借地権割合を乗じたものになることは稀です。

実際の市場では、借地権割合で求めた借地権価格より、さらに1~2割程度減額された金額で取引されることが多いです。

この減額幅は、田舎ほど大きくなる傾向にあります。

田舎の土地は安いため、借地権価格のような中途半端な権利を買うよりは、所有権を買いたいと思う人が多いです。

借地権の取引は、都会ほど活発であり、都心部ほど減額割合が小さく、路線価の借地権割合に近い水準で取引される傾向にあります。

また、同じエリアでも、地代が高く設定されている借地権は、減額割合が大きくなります。

地代が高い借地権ほど、「経済的な借り得」感が薄まり、購入希望者も減るためです。

借り得感がある地代は固定資産税の3倍

一般的に、借り得感がある地代とは、固定資産税の3倍程度の地代になります。

固定資産税の4~5倍程度の地代となると、借り得感が薄まり、価格がどんどん低くなります。

一方で、地代には相当地代と呼ばれる地代も存在します。

相当地代とは、いわゆる地代の定価

相当地代は、年間地代が更地価格の6%が目安となります。

地代が相当地代まで高くなると、定価の地代を支払っていることになりますので、「経済的な借り得」感はゼロになります。

借り得感がゼロであれば、わざわざその権利を、お金を払ってまで買う必要はなくなります。

すると、地代が相当地代まで高くなると、借地権に経済価値は発生しなくなり、借地権価格はゼロとなります。

以上、ここまで借地権付き建物の価格について見てきました。

では、売買の際に土地の所有者には何をすれば良いのでしょうか。

そこで次に、地主への譲渡承諾料について解説いたします。

3.地主への譲渡承諾料

借地を売買する場合、借地人は地主に対して「借地権の譲渡承諾料」を支払うのが一般的です。

借地権の譲渡承諾料は、借地権価格の10%が目安

10%はあくまでも目安であり、概ね8~14%くらいの範囲で、地主との協議の上、決まります。

譲渡承諾料は、払わなければいけないものではないのですが、商習慣として払うことが多いです。

法律の規制はないため、譲渡承諾料の支払自体に法的義務ははありません。

ただし、借地権の売買は、地主の承諾は義務です。

民法では、賃借権の譲渡には賃貸人の承諾が必要であることを定めています。

2019年7月時点の民法第612

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

  1. 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
  2. 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

※出典:WIKIBOOKS「民法第612条」より

このため、借地権を地主の承諾なしに勝手に売買することはできません。

地主に対して許可を得る必要がありますが、その許可に要するお金が「借地権の譲渡承諾料」ということになります。

例えば、借地権価格が3,000万円だった場合、その10%である300万円が地主へ支払う承諾料の目安となります。

尚、地主が借地権の譲渡を承諾してくれず、揉めてしまうことも考えられます。

この場合は、最終的に裁判所に借地権譲渡の許可を求めることができます。

借地借家法

借地借家法では以下のような規定があります。

借地借家法第19条

借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡、又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

※出典:WIKIBOOKS「借地借家法第19条」より

借地権の売買では、まずは地主に承諾してもらうことが必要です。

地主に承諾してもらったら、次に支払う譲渡承諾料はいくらを求める必要があります。

譲渡承諾料を決めるには、借地権価格を決めなければいけません。

地主とは十分に話し合ったうえで、譲渡承諾料を決めるようにしましょう。

4.まとめ

以上、ここまで、借地権を売買する際の価格や、地主への承諾料について見てきました。

借地権価格は地代が安いほど高くなります。譲渡には譲渡承諾料も必要です。

地主の承諾を得た上で、借地権売買を行うようにしてください。

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