マンションを転売して利益を出すことができたら、これほど嬉しいことはないでしょう。
普通に考えれば、購入時より高く売れるなんてことそうそうありませんからね。
でもやはり「普通に考えれば利益が出ない」のですから、マンションの転売で利益を出すことは難しいです。
ポイントとなるのは、大きく分けて次の3つです。
- マンションの売買にかかる諸費用や税金をしっかり認識し、本当の意味の「利益」を理解すること
- 安易に転売目的でマンション購入をしないこと
- 購入するマンションを見極めること
こちらでは、マンションの転売で利益を出すためにわきまえることやコツをお伝えしていきます。
マンションの転売って儲かるの?
そもそも、マンションの転売で本当に利益が出るのか疑問ですよね。
結論からいうと、マンション転売で利益を出すのは難しいです。
理由は、マンションは経年によって価値を落としていくのが基本だから。
築5年で購入したマンションを築10年のときに売ったら、購入当時より安くなるというのが一般的です。
さらにマンションの売買には手数料と税金がかかるので、利益を出すのは容易ではないんですね。
まずはマンションの転売にかかる諸費用も考えて、利益がどれくらい出るものなのかを説明します。
マンションを転売するとどれくらいの利益が出る?
マンションを5,000万円で購入して、6,000万円で転売できたとしても、あなたの利益は1,000万円にはなりません。
それは、マンションの購入や売却には諸費用や税金がかかるから。
まずマンションの売買にかかる諸費用は、以下のようなものがあげられます。
マンション転売に掛かる費用
【購入の場合】
- 仲介手数料・印紙代
- 登記費用
- 不動産取得税
- 火災保険料(任意)
- ローンを組む場合、印紙代や保証料、抵当権設定費用
【売却の場合】
- 仲介手数料
- 印紙代
- ローン残債がある場合、完済手数料と抵当権抹消費用
ザックリいうと、マンションの購入時には購入代金の6%前後、売却時には売却代金の4%前後の諸費用が掛かります。
5,000万円のマンションを購入して6,000万円で転売した場合、540万円ほどの金額が売買の諸費用としてかかってしまうということです。
売却益が出ると税金も掛かる
また売却益に対して、譲渡所得税が課税されることも忘れてはいけません。
譲渡所得は、以下の計算式で算出します。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
5,000万円(建物2,500万円・土地2,500万円)で事業用のマンションを購入して、5年後に6,000万円で転売した場合の譲渡所得を計算してみます。
- 購入にかかった諸費用:300万円
- 売却にかかった諸費用:240万円
- 減価償却費相当額:2,500万円×0.9×0.022×5=247.5万円
6,000万円-(5,000万円+300万円-247.5万円+240万円)=707.5万円
これがこのケースの譲渡所得となります。
ここに、所得税と住民税、復興特別所得税(2037年まで)が課税されます。
マンションの所有期間によって税金が異なる
ここでポイントとなるのは、マンションの所有期間によって譲渡所得にかかる税率が変わることです。
所有期間によって異なる税率は、以下の通りです。
なお「所有期間」は、売却する年の1月1日時点の所有期間となります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
所有期間が5年以下の場合の税率は、5年超のおよそ2倍(20.315%→39.63%になるので約2倍)。
例えば、譲渡所得707.5万円だとすると
- 所有期間5年以下の場合:約280万円
- 所有期間5年超えの場合:約143万円
の税金がかかるということです。
5,000万円のマンションを購入して6,000万円で転売した場合、売買にかかる諸費用は約540万円でしたね。
さらに譲渡所得税を考えると、所有期間別の利益は以下のようになります。
- 所有期間5年以下の場合:1,000万円-540万円-280万円=180万円
- 所有期間5年超えの場合:1,000万円-540万円-143万円=317万円
マンションの転売で失敗しないためには、「所有期間」が鍵を握っているといっても過言ではありません。
そのため短期間に価値が上がりそうなマンションというよりも、長期的にみて価値の上昇が期待できるマンションを選ぶべきだといえるでしょう。
そしてローンで購入する場合はとくに、所有期間中の収支についても考えなければなりません。
キャピタルゲインだけを狙うのではく、インカムゲインも見据えたマンション選びをしなければ、転売による相対的な利益を出すことは難しいです。
「マイホーム」の転売は利益が出やすい
「自宅投資」という言葉をご存知ですか?
自宅を投資物件のように選ぶことで、自分が住まなくなったときには貸すことができるし、売るときにも資産価値の低下が少なくすむという考え方です。
実は自宅の売却は、税金面でかなり優遇されているので転売時に利益が出やすいものなんです。
譲渡所得税は、所有期間5年以下だと約40%、5年超でも約20%と非常に高額でしたよね。
しかし「マイホーム」の売却なら、譲渡所得を3,000万円まで控除できるマイホーム特例が適用。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)-3,000万円
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
すると、譲渡所得が下がり、税金が少なくなり、転売による利益率を高めることができます。
マイホーム特例の他にも、
- 所有期間が10年を超えている場合には軽減税率の特例
- 買い替えの場合には買い替え特例
が適用となり、譲渡所得が3,000万円を超える場合にも税金をゼロにしたり、大幅に引き下げたりすることが可能。
マンションの売買にかかる諸費用は変わらずにかかりますが、高額になりがちな税金を抑えることができるので、マイホームの転売は利益が出やすい傾向にあります。
マイホームの特例については下記記事をご確認ください。
マンションの転売で利益を出す4つのコツ
転売で利益を出すには、そもそも購入金額を上回る金額でマンションが売れなければなりません。
それも手数料や税金以上の利益が必要になるのですから、転売して利益を得るためにはマンション選びが一番重要。
ここからは、転売して利益を出すためのマンション選びのコツをお伝えします。
- 一番大事なのは立地
- 中古マンションの方が価値は落ちにくい
- ブランドマンションやタワーマンションを狙う
- 売り時を考える
それぞれ見ていきましょう。
コツ1.資産価値が上がる重要な要素は「立地」
資産価値が上がるマンションの一番の特徴は、立地にあります。
東京オリンピック開催決定を受けて、東京の湾岸エリアの価値はぐんぐん上昇しています。
そのエリアには2013年頃から新築マンションも多く建築され、国内外の投資家がこぞって買いあさっています。
また大阪万博開催決定やIR事業で盛り上がる大阪夢州エリアもまた、投資家たちは大注目しているでしょう。
もちろん国際的なイベントが開催されるエリアだけではなく、
- 数年後に新駅ができる
- 他路線への乗り入れが決まっている駅
- 大規模な開発が予定されている
このようなエリアのマンションは、今後の資産価値上昇に期待できます。
コツ2.新築マンションは避けて中古マンションを狙う
マンションの資産価値を考えると、築年数は浅ければ浅い方がいいと思うかもしれませんが、基本的に新築マンションは避けた方が賢明です。
というのも、新築マンションの多くは、中古になった時点でガクッと価値が落ちるものだから。
新築マンションは、分譲会社や販売会社の利益が加味された価格で売り出されるものであり、「新築」は一種の付加価値だといえます。
そのため誰かが入居した、もしくは築1年を過ぎて「中古」になった時点で一定の価値が落ちてしまうのです。
コツ3.ブランドマンションやタワーマンションを狙う
「価値が落ちないマンション」の代表的なものに、ブランドマンションやタワーマンションがあげられます。
ブランドマンションやタワーマンションの
- 「共用施設が充実している」
- 「高級感がある」
- 「立地が良い」
このような特徴は、揺るがない価値として評価され、築年数が経過しても価値が落ちにくい傾向にあります。
しかし転売して利益を出すには、「価値が落ちない」ではなく「価値が上がる」マンションを選ばなければなりません。
ブランドマンションやタワーマンションの中でも、好立地で需要の高いものを見極める必要があります。
コツ4.売り時を考える
マンションの価格は戸建て住宅や土地に比べて市場の動向をダイレクトに受けるものなので、売り時もよく見極める必要があります。
※出典:国土交通省「不動産市場動向レポート」より
上のグラフは、2010年の平均価格を100として、マンション、戸建て、住宅地の価格の推移を表したもの。
赤の折れ線グラフがマンションの指数なのですが、住宅地の青、戸建て灰色に比べて右肩上がりで推移しているのが歴然ですよね。
2013年頃からは、金融緩和政策や東京オリンピック開催の決定、消費税増税の発表などが相次ぎ、不動産市場は活性化しています。
先述通り、マンションの価格は市場の動きをダイレクトに受けるので、このような推移をしているのですね。
これからの不動産市場は、人口の減少や高齢化、空き家の増加などにより、動きが大きくなることも予想されます。
今後、市場が動くときも、まず影響を受けるのはマンションの価格でしょう。
転売を視野にいれているのなら市場の動きには敏感になり、「自分のマンションの市場価値はいくらなのか」を常に把握しているべきです。
相場を調べるなら一括査定サイトがオススメ
マンションの市場価値を調べるうえでも一括査定サイトがオススメです。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
一括査定サイトは、机上査定を選択することができ、メールでも査定額をもらうことが可能。
不動産一括査定で机上査定をする
不動産一括査定を使えば、机上査定(簡易査定)が選択でき、メールで査定額がもらえます。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
申込みは無料で行なえますし、「机上査定(簡易査定):訪問せずに取引実績等のデータから予想した金額の提示」を選択できるようになっています。
机上査定ができるオススメサイト
また、とりあえず査定額が知りたい方は要望欄に「メールで査定額を希望」と記載しておきましょう。
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
マンションをリフォームして転売は個人では難しい
「リフォーム歴がない物件を安く購入して、自分でリフォームして転売するのもいいかも!」と考える人もいらっしゃるでしょう。
現に自社で買取、リフォーム、再販することで利益を出す不動産業者は多くいます。
でも彼らが利益を出せるのは、この一連の流れを事業としておこなっているから。
リフォームも一般の人より安く手配することができますし、自社で再販することで手数料も抑えることができるために利益が出せているのです。
それを不動産業者ではない個人でおこなうとなると、やはり難しいでしょう。
競売で落札したマンションを転売は危険である理由
マンションを転売して利益を出すには、「仕入れ値」を抑える必要があります。
仕入れ値を抑えるには、「競売物件」を買えばいいんじゃない?と思う人もいらっしゃるのではないでしょうか。
競売とは、住宅ローンが払えなくなった場合に、抵当権のついているマンションを売却することによりローン残債を返済する「法的手段」
競売に出るマンションは、住宅ローンが払えなくなった場合の最終手段のため、売却額が安いのが特徴です。
しかし結論からいえば、競売物件には安易に手を出すべきではありません。
まずは競売物件のメリットとデメリットを見ていきましょう。
競売でマンションを仕入れることのメリット
- 相場価格の4~6割ほどの値段で落札できることも
競売でマンションを仕入れることのデメリット
- 紙面でしか物件の条件や状況を確認することができない(外観を見ることはできる)
劣化が予想以上に激しい、前居住者が立ち退かないという可能性もある - 「消費者」として守られない
物件に瑕疵があっても自己責任 - 仲介業者がいない
落札に手間がかかる - 融資を受けるのが難しい
落札までに融資が間に合わない可能性も
競売物件は安く購入できるというメリットがあるものの、全てにおいて自己責任というのが大きなリスクだといえるでしょう。
「マンションだったら間取りも大体わかるし、劣化といってもたかが知れている!立地が良くて築年数が浅いものを選べばいいのでは?」
とも考えられますが、転売のプロである不動産会社が狙っています。
落札価格が高くなりがちで、さらに再販事業をしている不動産業者などが狙っているため落札が難しい傾向にあります。
中にはお宝物件のようなものもありますが、競売物件はふたを開けてみなければわからない以上、転売目的で安易に手を出すべきではないといえます。
まとめ
マンションの転売で利益を出すことは、容易ではありません。
しかし売買にかかる諸費用や税金を理解し、利益を出すためのコツを意識すれば、利益を出すことは十分可能です。
また「諸費用や税金を計算する」「物件選びをする」「売り時を考える」これらは、自分1人で判断しなければならないわけではありません。
マンションの購入にも売却にも、不動産会社が携わってくれるものです。
「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」などの一括査定サイトを使って有能な不動産会社をパートナーを探しましょう。