農地を調べる便利なツールとして、「eMAFF農地ナビ(※旧全国農地ナビ)」があります。
eMAFF農地ナビとは、農林水産省が推進して作った全国の農地情報サイトです。
eMAFF農地ナビは誰でも無料で利用できるサイトですので、単純に農地の場所を探したい人でも利用することができます。
農地に興味のある人は、「eMAFF農地ナビでどのようなことができるのか知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では「eMAFF農地ナビ」について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
こんな悩みをスッキリ解消!
- eMAFF農地ナビって、何のことなの?
- eMAFF農地ナビでは、どのようなことができるの?
- eMAFF農地ナビは、どうすれば使うことができるの?
eMAFF農地ナビとは
最初にeMAFF農地ナビについて解説します。
サイトの目的や誕生した背景
eMAFF農地ナビとは、一般社団法人全国農業会議所が運営する農地の情報サイトです。農業委員会が管理している農地台帳をインターネット上で公表している公的なサイトとなります。
eMAFF農地ナビによって、農地を貸したい人の情報が簡単に入手できるようになり、農地を拡大していきたい人が借りることのできる農地を見つけやすくなっています。
eMAFF農地ナビの目的は、農地の集積化にあります。現在、国内農業は農業従事者の減少と高齢化の加速によって、存続が危機的な状況です。
日本は食料自給率が低いため、輸入が途絶える状況になるとたちまち食糧難に瀕していくことが予想されています。そのため、国内でも農業をなんとか維持し、活性化していくことが喫緊の課題です。
農業従事者が減る中で農業を維持するためには、生産性の向上がカギを握ります。
現在の農業は機械化が進んでいるため少人数でも可能ですが、生産規模が大きくないと機械の設備投資に見合いません。
そこで必要となっていくのが農業の大規模化です。1人の農家が大規模農地を持つことができれば、生産量を上げることができるため、設備投資の回収を図ることができます。
アメリカのように大きな農場で生産できれば、大型トラクター等も積極的に導入でき、少人数でも生産性を上げることができるのです。日本においても、若手の農業従事者にどんどん農地を借りてもらい、集積化・大規模化すれば生産性向上の可能性が見えてきます。
若手の農業従事者に農地を借りやすくするためには、「農地を貸したい」という人の情報をもっと手軽にわかりやすく入手できるような形にすることが必要です。
そこでインターネットで農地を貸したい人の情報を入手しやすくできるようになったシステムがeMAFF農地ナビなのです。
eMAFF農地ナビで得られる情報
eMAFF農地ナビで得られる情報は、主に以下の3つです。
eMAFF農地ナビで得られる情報
- 所有者の農地に関する意向
- 遊休農地かどうか
- 遊休農地の所有者等の意向
eMAFF農地ナビでは、所有者の今の気持ちまでわかることが最大の特徴です。単純に農地の場所だけでなく、所有者がどうしたいのかまで知ることができるのが画期的な情報サイトであるといえるでしょう。
所有者の農地に関する意向
所有者の農地に関する意向は、農地を所有者が、今後、農地を貸したい・売りたいといった意向を持っていて、その意向を公表することに同意している場合に見ることが可能です。
遊休農地かどうか
遊休農地かどうかについては、農業委員会等が調査した結果を表しています。
遊休農地とは現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地のこと。
遊休農地の所有者等の意向
遊休農地の所有者等の意向では、遊休農地を所有者が、今後、農地をどのように利用するかについて、各農業委員会が調査をした結果を公表しています。
eMAFF農地ナビにできること
この章ではeMAFF農地ナビにできることについて解説します。
eMAFF農地ナビで出来ること
- 地番から農地を特定できる
- 規模の拡大を図ることができる
- 休耕地を探すことができる
地番から農地を特定できる
※出典:eMAFF農地ナビ
eMAFF農地ナビでは、地番から農地を特定することができます。
農地が特定できる機能は、農業従事者以外の人たちでもかなり役立つ機能です。農地は所有者に聞かないと、どこからどこまでの範囲を指すのか分かりにくいのが一般的です。
法務局で入手できる公図や謄本を見ても、住宅地図と照合できないことが多く、所有者に聞かないとわからないというのが従来の農地の確定でした。
しかしながら、eMAFF農地ナビを使えば、地番から航空写真上で農地を特定することが可能です。所有者に直接確認しなくても、農地の場所を確定できるのは、便利な機能といえます。
例えば、宅地建物取引士や不動産鑑定士、司書書士、弁護士、税理士等の専門家も農地の場所を特定するのに使えます。
一般の人も、場所の分からない農地を相続する場合に利用できることが想定されます。農地の場所を簡単に知りたい場合には、eMAFF農地ナビを使ってみるのが良いでしょう。
規模の拡大を図ることができる
eMAFF農地ナビを利用することで、農地の規模の拡大を図ることができるようになります。
eMAFF農地ナビの本来の目的は農地集積ですので、借りるまたは買えることのできる農地を探すことは、制度に適した使い方でもあります。
eMAFF農地ナビは、上空写真で拡大できそうな農地を探すことができるため、情報把握が非常に行いやすいです。周辺状況がよくわかりますので、農業で使うトラクターやラジコンヘリ等の動線もイメージしながら適切な農地を探すこともできます。
農地も、例えば「現在農作物を栽培している農地で、所有者が貸したい農地」等、かなり条件を絞って探すことが可能です。農地を拡大したい意向のある方は、ぜひeMAFF農地ナビをご利用ください。
休耕地を探すことができる
eMAFF農地ナビでは、休耕地を探すこともできます。
現在、国内にはかなり荒れ果てた休耕地も存在し、休耕地なのか単なる荒れ地なのかわからない状態のものもあります。
eMAFF農地ナビを使えば、休耕地であることを知ることができます。休耕地は農地法上の農地であるため、勝手に売買することはできません。
農地法の農地を売買するには、農地法の許可が必要となってきます。農地法の農地は謄本上の地目ではなく現況で判断するのが原則です。
ただし、その現況で判断しにくいのが休耕地です。休耕地は現況が農地には見えないものもありますが、農地法の農地になります。
従来、休耕地が農地であるかどうか判断するには農業委員会への確認が必要でした。
しかしながら、eMAFF農地ナビによって今では農業委員会へ行かなくても休耕地であるかどうかが分かるようになっています。休耕地かどうかを簡単に調査したい場合には、まずはeMAFF農地ナビで確認して見るのも一つです。
農地ナビで登場する関連用語
この章では農地ナビで登場する関連用語について解説します。
農地ナビで登場する関連用語
- 農業委員会とは
- 農地中間管理機構とは
農業委員会とは
農業委員会とは、市町村に設置された農地法に基づく売買・貸借の許可等を行う行政機関のこと。
農地は、農地法によって勝手に売買や賃借をすることが許されておらず、農地法の許可が必要となっています。この農地の売買や賃借の許可を与える許可権者が「農業委員会」という行政機関です。
農業委員会が与える許可は、主に農地を農地のまま売買または賃借するときケースであり、通称、「3条許可」と呼ばれています。
農地を農地以外にするときの許可権者は都道府県知事ですので、農業委員会は「これからも誰かが農業を続けていくケース」で登場する行政機関となります。
農業委員会では、3条許可の他に従来から農地の権利関係や利用状況の調査、農地所有者の意向の把握なども行っています。
従来からヒアリング調査の中で「そろそろ農業をリタイアして農地を誰かに貸したい。」、「農地を持っているが、自分では耕作できない。誰かに貸したい。」等の意向を吸い上げており、それを農地台帳と呼ばれる台帳に一元管理していました。
全国には農業委員会が作成していた農地台帳が散逸していましたが、これらを電子化して一元的に公開したものが「eMAFF農地ナビ」です。
eMAFF農地ナビは、突如として急に出来上がったものではなく、従来から全国の農業委員会が作成していた農地台帳を電子化し、インターネットで無料公開したものということになります。
eMAFF農地ナビで見ることができるような情報は、従来なら農業委員会に出向き農地台帳を閲覧すれば確認することができました。
しかしながら、eMAFF農地ナビの登場によって、いつでもどこからでも農地台帳を見ることができるようになったというのが大きなメリットです。
eMAFF農地ナビは、視覚的にも大変見やすくなっており、農地台帳とは比較にならないくらい利便性が向上しています。
農地中間管理機構とは
農地中間管理機構は、eMAFF農地ナビの実質的な運営者でもあります。農地中間管理機構とは、都道府県に設置された農地の賃貸を行いやすくするための組織です。
別名として、「農地バンク」と呼ばれています。「農地の中間的受け皿」と表現されることもありますが、要は「貸したい人」から一旦農地を借り、「借りたい人」へ転貸する組織です。
農地中間管理機構は、実質的には農業員会が持っている農地台帳の情報を活かし、「貸したい人」と「借りたい人」の情報マッチングを行っています。
農業員会はあくまでも貸すことを許可する組織ですので、農業委員会が自ら借りて転貸するようなことを行うと役割に矛盾を生じてしまいます。
そこで、あえて農業委員会とは別組織の農地中間管理機構を作ることで、「貸したい人」と「借りたい人」の転貸ができるようになったのです。
農地中間管理機構は公的な組織ですので、貸す人も安心して貸すことができます。
また、借りたい人もまとまった農地を借りやすくなっています。
農業員会と農地中間管理機構との違いは、農業委員会が賃貸を許可する組織であるのに対し、農地中間管理機構は農地を借りて転貸する組織であるということです。
eMAFF農地ナビ以外で農地を売りたい方へ
eMAFF農地ナビを使うと「農地を貸したい」「農地を売りたい」方が掲載情報を載せて「農地を拡大したい」方に貸したり売ったりすることができますが、eMAFF農地ナビ以外にも農地を売る方法はあります。
それは不動産一括査定サイトを使う方法です。
農地の売買も、基本的には普通の宅地の売買と同じです。
ただし、農地法などで、売却までに許可を必要とする行為が加わるなど、難易度は高いです。
農地を売却する場合は、農地を扱ったことのある地元の不動産会社に依頼することをオススメします。
農地の仲介には、許可手続きを進めるうえでの経験が必要だからです。
といってもそもそも不動産会社を知らない人も多いと思います。
そこでオススメなのが「HOME4U」です。
HOME4Uは不動産一括査定サイトです。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
ただ、残念なことに「農地」に対応している一括査定は少なくHOME4Uぐらいしかありません。
農地査定の方法
申し込み際に必ず「農地」を入れるようにしてください。
物件を選ぶときに「その他」、すると入力欄が出るので「農地」と記載します。
すると下記のように農地に強い不動産会社が見つかります。
一括査定については下記記事でさらに詳しく解説しています。
まとめ
eMAFF農地ナビは、農地の集約化を促進するための情報サイトです。eMAFF農地ナビを使うと以下のことができるようになります。
eMAFF農地ナビで出来ること
- 地番から農地を特定できる
- 規模の拡大を図ることができる
- 休耕地を探すことができる
eMAFF農地ナビを使えば、今まで入手しづらかった農地情報を簡単に手に入れることができますので、農地に興味のある人はぜひ使ってみてください。