一度に大きなお金が動く不動産の売却では、入金のタイミングが気になるところです。
お金の入り方もタイミングによって入金額が大きく異なります。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 不動産売却の入金や支払タイミングを知りたい
- 不動産売却時の手付金とは?効力はどれぐらいあるの?
- 手付金を支払うタイミングはいつ?
結論からすると、不動産を売却すると、契約時に手付金、引渡時に残金の入金が行われます。
そこで今回の記事では不動産売却における「入金」にフォーカスしてお伝えいたします。
本記事のポイントまとめ
- 不動産売却の流れで入金があるタイミングは「売買契約・重要事項説明 」「引き渡し」
- 不動産売却の流れで支払いがあるタイミングは「売買契約・重要事項説明 」「引き渡し」「確定申告」
- 売却を開始してから入金までは、標準的なペースで4ヵ月~7か月後くらい
不動産売却の流れと入金・支払いタイミング
不動産の入金を理解するために、まず不動産の売却の流れについて解説します。
不動産の売却に関し、お金の流れは以下のようになります。
順番 | やること | お金の入金・支払の有無 |
---|---|---|
ステップ1 | 査定 | 無料 |
ステップ2 | 不動産会社と媒介契約締結 | 契約段階では発生しない |
ステップ3 | 物件案内・内覧対応 | 無料 |
ステップ4 | 買主・売却価格の決定 | 無料 |
ステップ5 | 売買契約・重要事項説明 | 手付金入金、仲介手数料半額支払 |
ステップ6 | 引渡 | 残金入金、固定資産税等の精算、仲介手数料半額支払 |
ステップ7 | 確定申告 | 譲渡所得があれば税金の支払 |
不動産の売却は、売買契約と引渡を分けて2段階で費用を支払うのが通常です。
お金の流れが発生するタイミングは売買契約時、次が引渡時になります。
売買契約時の当日の入金と支払い
- 【入金】買主より手付金の入金があります。
- 【支払い】不動産会社へ仲介手数料を半額の50%を支払います。
引渡時の当日の入金
- 【入金】買主から残代金の入金があります。
また厳密には買主から引渡日以降の固定資産税の精算金の入金があります。
これらは残代金と合算されて入金を受けます。
手付金と残代金については後ほど詳しくお伝えしますので、ここでは概要を理解いただければと思います。
さらに不動産会社へ仲介手数料の残金50%の支払を行います。
入金時期の目安
通常、売却活動期間は3ヵ月~6ヵ月ほどの時間を要します。
つまり売却を開始してから手付金入金まで、標準的なペースで3ヵ月~6ヵ月後です。
さらに売買契約から引渡の間は通常1ヵ月程度、間が空きます。
売却を開始してから入金までは、標準的なペースで4ヵ月~7ヵ月後となります。
仲介手数料の支払のポイント
仲介手数料については、売買契約締結時点で不動産会社に100%の請求権が発生します。
そのため売買契約締結時に仲介手数料を満額要求されても違法ではありません。
ただし、引渡までは不動産会社に頑張って動いてもらう必要があり、気を緩ませないためにも売買契約時は50%の支払いに留めておくのが無難です。
実際には、不動産会社への仲介手数料の支払いは、商習慣として売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うパターンが多いです。
気をつけたい手付金と残代金
手付金と残代金の割合は以下のようになります。
お金の種類 | 入金時期 | 金額の目安 |
---|---|---|
手付金 | 売買契約時 | 売買代金の10~20% |
残代金 | 引渡時 | 売買代金の80~90% |
手付金は売買代金の10%が通常
手付金はいくらという決まりはありません。
通常、売買代金の10%が最もポピュラーです。たまに20%というのもあります。
手付金は少し金額が大きいのですが、封筒に入った分厚い現金を手渡しで受け取るケースもまだまだ多いです。
場合によっては小切手での支払というケースもあります。
手付金を受け取ったら、領収証を発行します。
手付金の領収証は、個人間の不動産売買の場合、「営業に関しない受取書」に該当しますので印紙は不要。
また領収書は原本を相手に渡してしまうため、渡す前に念のためコピーを取っておき、手元に置いておきましょう。
法人間で取引を行うような大型の不動産取引では、中間金というのも存在します。
ただし、個人間の住宅売買であれば、ほぼ手付金と残代金のみです。
売買代金の残金は引渡し時に受け取る
残代金については、引渡時の所有権移転登記に必要な資料の引き換えと同時に入金をうけます。
着金確認は、携帯電話で家族が記帳確認して連絡を取りあう確認手法やスマホで口座の入出金履歴を見る確認手法等を行って、その場で着金確認を行います。
残代金に関しても領収証を発行します。個人間の売買の場合は、手付金と同様、領収証には印紙は不要です。
残代金の領収証もコピー保管を忘れないようにしてください。
手付金で注意するポイント
売買契約時に入金される手付金は、売買代金の一部と考えられがち。
ただし、引渡まで使わずにきちんと残しておくことが必要です。
手付金は、法的に以下の3つの性質を持ちます。
- 証約手付:契約の成立を証拠立てる効力をもつ性質のお金
- 解約手付:買主は手付を放棄し、売主は倍返しすれば自分の都合で契約を解除できる性質のお金
- 違約手付:当時者に債務不履行があったときは、違約罰として損害賠償とは別に当然に没収できるという趣旨で交付される性質のお金
ここで、手付金の性質の中でポイントとなるのが「解約手付」という性質です。
売買契約から引渡までは1ヵ月間ほどありますが、この間に当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、手付解除をすることが可能です。
売却をキャンセルした場合は同額の手付金を支払う
例えば、売買契約をした後に「やっぱり売るのを止めた」となれば、売主の場合、手付の倍返しを行えば売買契約を解除できるということです。
倍返しと言っても、既に手付金を受け取っているため、売主の場合は、既に受領した手付金に加えて自腹で払う手付金を合わせれば、手付の倍返しとなります。
仮に入金された手付金を使ってしまっていると、手付倍返しのときに、本当に2倍の手付金を自腹で用意する必要が出てきます。
こうならないために、引渡時までは、手付金は自分のお金だと思わず、手を付けないようにしましょう。
買主側のキャンセルであれば、手付金は返却必要なし
一方で、買主も同様に「やっぱり買うのを止めた」ということもできます。
この場合は、手付放棄となります。
手付金は既に売主のもとへ入金されていますので、手付金はそのままもらえますので、返す必要はありません。
手付解除時の仲介手数料の取扱
手付金解除を行う場合、既に不動産会社へ支払ってしまった仲介手数料の50%を取り戻せるかどうかが問題となります。
手付解除の場合、基本的に不動産会社へ支払った仲介手数料は取り戻せません。
理由としては、手付解除の場合は、買主や売主の一方的な都合で解除するため、不動産会社に非がないため。
また本来、売買契約時点で不動産会社には仲介手数料を100%請求できる権利が発生しています。
50%しか受領していない不動産会社も手付解除をされてしまうと、残り50%を取り損ねているということになります。
なので、仮に不動産会社へ残り50%を請求されても、法的に言うと支払う必要があるのです。
ただし、多くの不動産会社は、請求はしてこないのが通常です。
引渡し当日のその他精算金
引渡日当日は残代金のほか、固定資産税や管理費・修繕積立金等の精算を行います。
精算とは以下のようなお金を買主との間で精算することを言います。
- 固定資産税などのように売却年度の間は引き続き売主に請求が届くようなもの
- 引渡後に本来であれば買主が負担すべきものを、売主が既に払ってしまったもの
これらの精算金も引渡当日に入金されます。
精算金の授受に当たっては、残代金の領収証とは別に、諸費用領収証を渡すのが一般的です。
精算は売主と買主との間での取り決め事項であるため、必ず行わなければならないものではありません。
固定資産税や管理費等の精算については下記記事でさらに詳しく解説しています。


売却後にも支払う必要がある税金
不動産の売却も基本的に所得になりますので、税金が掛かることになります。
ただし、売った金額がそのまま税金の対象になるわけではありません。
課税譲渡所得と呼ばれるものが税金の対象となります。
課税譲渡所得は下記で計算できます。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
細かい話は省略しますが、ザックリ言うと、買った時よりも売った時の方が高くなれば、利益が出たとみなされ税金が掛かるということです。
ただし、マイホームを売却した時は、3,000万円の特別控除があります。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)-3,000万円
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
つまり、買った時よりも3,000万円以上高く売れない限りは税金が発生しないというわけです。
このように不動産の売却は優遇されており、減税処置がありほとんどの方が税金は掛かりません。
3,000万円の特別控除や税金については下記記事でさらに詳しく解説しています


まとめ
不動産の売却で手付金と残代金はいつ入金されるかについて徹底解説してきました。
不動産は金額が大きいため、入金のタイミングをしっかりと把握しておきましょう。