不動産は売出価格と成約価格が異なるのは常識です。
インターネットでは売出価格は分かっても、実際の成約価格が分からないため、不動産の本当の価格はいくらくらいなのか分かりません。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 売出価格と成約価格って違うの?
- 成約価格は売出価格の何%引きになっちゃうの?
- 売出価格はいくらくらいで決めておけば良いの?
統計データから分析すると
- 【マンションの場合】成約価格は売出価格:82.2%程度
- 【戸建の場合】成約価格は売出価格:85.4%程度
です。
今回の記事では、不動産売却における売出価格と成約価格を中心にお伝えします。
不動産売買時によく見る6つの価格について
不動産売買では、以下の6つの価格を見ることが多いです。
今回のメインテーマは「売出価格」と「成約価格」ですが、まず最初にそれぞれの価格の内容について見ていきましょう。
名前 | 内容 |
---|---|
市場価格 | 特定の地域の不動産が「どのくらいの価格で設定されているのか」 「どういった価格変動をしているのか」という相場の価格 |
希望売却価格 | 「自分が不動産をいくらで売りたいのか」という価格 |
査定価格 | 不動産会社が物件の価格を判定した価格 |
売出価格 | 不動産が実際に売りに出されるときの価格 |
購入希望価格 | 購入希望者が申し込み時に提示する価格 |
成約価格 | 売り主と買い主の双方が納得し、売買が成立した価格 |
次に市場価格の調べ方についてみていきましょう。
市場価格の調べ方
市場価格を調べる方法として下記の3つが使われることが多いです。
- 不動産ポータルサイト「SUUMO」「HOME’S」
- 国土交通省の「不動産取引価格情報検索」
- 不動産流通機構の「REINS」
それぞれの調べ方について見ていきましょう。
不動産ポータルサイト(SUUMOやHOMESなど)
まず一番に思いつくのが、SUUMOやHOME’Sなどの不動産情報サイトで、あなたの一戸建てと似た物件の値段を調べることです。
ただし、売り物件の情報は「希望売却価格」なので、実際にその水準で成約するとは限りませんから、注意が必要です。
国土交通省「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」
取引当事者のアンケートをもとに、実際の土地の成約価格が検索できるサイトです。
個人情報なので番地までは載っていませんが、土地の成約価格を知ることができます。
レインズ・マーケット・インフォメーション
国土交通大臣指定の「不動産流通機構」が運営・管理しているサイトが「REINS」です。
詳細に沿線や最寄り駅、間取りや築年数といった絞り込み検索で売却予定物件に近い物件の成約価格を知ることはできますが、物件の特定はできません。
自分の家の相場や売値を決める際の参考として利用することができます。
査定価格の算出方法
不動産会社の査定方法には、宅建業法上、下記の算出方法が推奨されています。
無料で行う不動産査定の価格算出方法は3つ
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
それぞれの査定方法の詳細は下記記事で詳しく解説しています。
不動産売却時の成約価格はネットだけでは分からない
これまで市場価格の調べ方や、査定価格の算出方法についてお伝えしてきましたが、成約価格はインターネットで出回ることはないため、実際の成約価格がいくらくらいなのか分からないのです。
最終的にいくらになったのか知っているのは、売り主・買い主と仲介している不動産会社だけということになります。
マンション・一戸建ての築年数別の売り出し価格と成約価格の差
以下は、築年数別のマンション及び一戸建ての売出価格と成約価格を示したグラフです。
※青線が売出価格の㎡単価(円)、赤線が成約価格の㎡単価(円)
※赤い成約価格の線に記載されているパーセントの数字は、成約価格の売出価格に対する割合
それぞれの数字は、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2016年)」より数値を拾っています。
例えば、築0~5年のマンションでは、売出価格の82.0%が実際に決まった成約価格となります。4,000万円で売出したマンションは、実際に売れた価格が3,280万円(=4,000万円×82.0%)であったということ。
一方で、築0~5年の戸建では、売出価格の86.9%が実際に決まった成約価格となります。4,000万円で売出した戸建は、実際に売れた価格が3,476万円(=4,000万円×86.9%)であったということ。
これらを総合すると下記のことが分かります。
マンション、一戸建ての売り出し価格に対する成約価格の割合
- 【マンションの場合】成約価格は売出価格:82.2%程度
- 【戸建の場合】成約価格は売出価格:85.4%程度
では、売出価格はいくらにすればいいのでしょうか?
適正な売出価格の決め方と注意点
査定額は予想成約価格
中古住宅を売却する場合、最初に行うことが不動産査定です。
この不動産査定で算出される価格というのは「予想成約価格」。
売出価格ではなく、成約価格に近い水準の価格が査定されます。
マンションや戸建てのグラフで見てきたように、売出価格と成約価格は異なることが分かりました。
そのため、査定額をそのまま売出価格にしてしまうと、そこから値引き交渉が始まってしまう可能性が高いです。
むしろ購入希望者が現れず売れ残りかえって長引く可能性も出ています。
そこで査定によって予想成約価格を出した後は、そこから売出価格を決める必要が生じます。
買い替えを希望している場合、住宅ローンの残高を完済して仲介手数料などの売却費用を支払ったうえで、ある程度の金額が残るようにする必要があります。以下の計算式を参考に売出価格を決める際の参考にしてください。
希望価格 ≧ 住宅ローン残高 + 売却費用 + 買い替え先の住宅の頭金(の一部)
売出価格の目安
統計的には成約価格は売出価格のマンションでは82.2%、戸建では85.4%となっていました。
値引き率で言うと、マンションが▲17.8%、戸建てが▲14.6%となります。
そのため、理屈っぽく言うと、査定額が5,000万円と出た場合、売出価格は以下のように決めるのが目安になります。
査定額が5,000万の場合
- マンション:5,000万円÷0.822 ≒ 6,083万円
- 戸建:5,000万円÷0.854 ≒ 5,855万円
ただし、これはあくまでも目安です。
物件によっては全く値引きされないものもありますし、大幅に値引きを受ける物件もあります。
統計上の数値は、あくまでも様々な条件の物件を合わせた全体の平均値。
売出価格をどの程度にするかは、不動産会社とよく相談してください。
一般論として査定額に少なくとも1割以上上乗せした価格を売出価格とするのが一つの目安です。
ただし、注意しなければいけないのが、会社によっては自社の成績ばかりを追っている不動産会社。
取引量が増えれば増えるほど、成績がよくなるため、とても安い売却額で提示するような会社もあります。
信頼できる不動産会社を探すのが大事
不動産売却で大事なことは、「信頼できる不動産会社を探せるか」。
不動産会社によって、得意としている不動産も異なりますし、この地域は得意・不得意などあります。
中には売却金額に数百万、数千万の差が出ることも。
ただ、あなただけの力でそのような不動産会社に出会えることは難しいと思います。
不動産会社を1社1社回って話を聞いていても、逆に迷うことになり時間ばかりが過ぎてしまいます。
そこで筆者がオススメしているのが「不動産一括査定サービス(サイト)」です。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
不動産一括査定を使えば、ネットからカンタンに複数社に査定依頼ができるのです。
不動産一括査定のオススメは「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」
不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。
その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。
上記を見ると超大手だけに依頼ができる「すまいValue」だけで良いように思えます。
ただし、不動産売却を成功させるなら大手だけではダメ。不動産会社には得意・不得意があるためです。
だから下記のように複数の不動産一括査定サイトを併用して大手・中堅・中小にも依頼できるようにするのが成功の秘訣です。
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。
どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。
不動産一括査定サイト名 | 机上査定が対応 | メール要望 |
---|---|---|
すまいValue | ○ | ○ |
SUUMO | ○ | ○ |
HOME4U | ○ | ○ |
イエウール | × | × |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | × | ○ |
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
以上、ここまで売出価格の決め方について見てきました。
それでは次に値引きされにくい物件と値引きされにくくする方法をお伝えします。
値引きされにくい物件と値引きをされにくくする方法
値引きも物件によって「されにくい物件」と「されやすい物件」があります。
値引きされにくい物件としては、以下のような条件の物件です。
値引きされにくい物件
- 人気の沿線、人気の駅の物件である
- 周辺に売物件が少ない
- 駅から5分以内である
- スーパーや病院等の生活利便施設が充実している
- 上層階である※マンションの場合
- 角部屋(東南)である※マンションの場合
- 閑静な住宅街の中にある※一戸建ての場合
- 前面道路に歩道がある※一戸建ての場合
- 角地(東南)である※一戸建ての場合
逆に言えば、上記条件が備わっていない物件ほど、値引きされやすいと言えます。
値引きを受けにくくする方法
物件の立地や条件と言うのは、今さら変えることはできません。
しかしながら、現状の中で値引きを受けにくくする方法はあります。
それは既存住宅売買瑕疵担保保険を付保して売却する方法。
- 既存住宅売買瑕疵担保保険とは瑕疵が発見されたとき、その修繕費用を保険金でカバーできる保険
- 瑕疵とは、建物の雨漏りや家の傾き、シロアリによる床の腐食など住宅の欠陥のこと
既存住宅売買瑕疵担保保険を付保すれば、買主に安心感を与えることができるため、値引き防止につながります。
既存住宅売買瑕疵担保保険については、下記の記事で詳細説明しています。
まとめ
不動産売却における売出価格に対する成約価格の目安について徹底検証してきました。
中古住宅の売買では、売出価格と成約価格が異なることが通常。
査定後は値引きを加味して売出価格を設定しましょう。