「好機逸すべからず」「鉄は熱いうちに打て」「物にも時節」等々、古くからタイミングは大切ですよという「ことわざ」はたくさんあります。
家やマンション・土地などの不動産の売却も同様で、高く売るにはタイミングが重要です。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 家やマンションの売却タイミングはいつがベストなのか知りたい
- 家の価値が下がらないタイミングで売却したい
- 何を判断基準にタイミングを考えれば良いのか知りたい
そこで今回の記事では不動産を売却するベストな「タイミング」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を見れば、不動産の適切な売却時期・タイミングを判断できるようになります。
本記事の要点まとめ
不動産の適切な売却時期・タイミング
- 戸建て築15年以内が売り時、マンションは築6~15年の間が売り時
- タイミングが合うのであれば、1~3月はねらい目
- まずは複数の不動産会社に査定をしていくらで売れるのかチェックしてみる
※詳細は「4.信頼できる不動産会社を探すオススメの方法」に書いています。
不動産売却の流れと売れるまでの期間
最初に不動産売却の流れと売却に要する期間を解説します。
不動産は、最初の査定から引渡完了まで4~5ヶ月程度かかります。
最初に価格査定を行い、媒介契約を締結します。
媒介契約とは不動産会社に依頼する仲介の契約のこと
その後、売却活動(売出価格の決定と内覧対応)を開始し、買主が見つかったら売買契約を締結します。
不動産の売却では売買契約と引渡を1ヶ月ほど空けるのが通常。
買主はその間に住宅ローンの本審査を行い、売主はその間に引越を行います。
物件の引渡しでは、最終的な物件の引渡と残金決済がなされます。
要する時間に差が出るのは売却活動開始~売買契約締結まで
不動産の売却では、売却活動の開始から売買契約締結までの売却に要する期間が不確定な部分です。
売却に要する期間は、標準は3ヶ月ですが、短い人は1ヶ月程度、長い人は1年以上かかることもあります。
ここで、公益財団法人東日本不動産流通機構では、首都圏不動産流通市場の動向(2018年)において不動産を売りに出してから成約するまでの平均日数を公表しています。
過去10年間の売却に要する平均日数を示すと以下の通りです。
※出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2018年)」より
売却に要する平均日数(10年間)を見てみると
- マンションは「71.5日」
- 一戸建て(家)は「88.9日」
- 土地は「95.9日」
です。
平均から見ても、マンションも一戸建て(家)も、概ね約3ヶ月程度で売却できていることが分かります。
次に不動産売却を成功させるために気をつけるべきことをお伝えします。
不動産売却のタイミングは「値上り」「値崩れ」「手残り」を考える
不動産の売却を成功させるためには、
- 「値上り」
- 「値崩れ」
- 「手残り」
の3つを考慮する必要があります。
この3つをカンタンに紹介した後に具体的なデータを見ながら解説していきます。
値上がりとは
値上りとは土地やマンションの値上り
これは不動産市況が活発になってくると自然と土地やマンションが値上がりしていきます。
値崩れとは
また、売却には値崩れも考慮しなければなりません。
値崩れの原因は主に建物です。築年数が古くなればなるほど、値崩れしていきます。
手残りとは
さらに、手残りも考える必要があります。
不動産を売却して売却益が出た場合は、所得税を支払うことになりますが、この所得税率は所有期間によって変わります。
所有期間が5年を隔てて税率が変わり、さらに居住用財産で有れば10年を超えると税率が下がります。
不動産売却のベストタイミングを検討
不動産売却をタイミングに関係してくるのは下記6つです。
- 季節の面:新生活前の2~3月を狙った売却がベスト
- 築年数の面:戸建は築15年まで、マンションは築6~15年の間が売り時
- 修繕履歴の面:築15年以上であっても、修繕した直後は売り時
- 金利面:住宅ローンが低金利のときは、売り時
- 税制の面:所有期間が5年超のタイミングで売却がオススメ
それぞれ詳しく解説していきます。
もし細かな説明が不要という方は読み飛ばして、「3.筆者が考える迷ったらこのタイミングで売却する」に進んでください。
季節の面:新生活前の2~3月を狙った売却がベスト
1つ目のタイミングとしては季節です。
これは毎年訪れる引っ越しシーズンに合わせるだけなので、非常に分かりやすいです。
日本においては、4月と9月に人の大移動が発生。
特に4月は子供の新学期が始まることから引越しやすいため大きな移動となります。
そのため、マンションや戸建住宅などの居住用財産は、2~3月にかけて最も高く売れます。
逆に4月は既に新生活が始まっているため、パッタリと売れなくなります。
特に転勤は会社から直前に言われることが多いので、2~3月に購入する方は焦って購入をします。
売出を1月頃からスタートさせ、2~3月を狙って売却をするのがタイミングとしてはベストです。
またこの時期は売却期間も短くなり、とても楽です。
築年数の面:戸建は築15年まで、マンションは築6~15年の間が売り時
2つ目のタイミングとしては、築年数です。
以下のグラフは築年別のマンション価格と戸建価格の単価の推移を示しています。
戸建については土地建物価格総額を建物面積で割り、建込㎡単価で表しています。
出典:公益社団法人東日本不動産流通機構より
グラフを見てみると、戸建については、築11~15年目までは▲10%程度の減額ですが、築15年以上になると下落のカーブが急にきつくなります。
築15年~30年にかけては、価格の下落が続き、その後はほぼ一定の価格になります。
戸建は築15年以上になると、設備の修繕費用等が大きく発生するため、急激に価値を落とします。
戸建の場合、土地価格の影響が強いため、マンションに比べると下落幅がそれほど大きくはありません。
築26年以降価格がほとんど下落しないのは、建物価格がゼロになり、ほぼ土地価格で取引されるためです。
つまり、戸建の場合は、築15年までが売り時です。また築26年以降はいつ売却しても構いません。
一方でマンションは築0~25年目にかけてかなりの勢いで下落していきます。
マンションは新築プレミアムが強く、築0~5年で2割程度下落します。
マンションは築6~15年の間は価格下落が一度なだらかになり、築15年を超えると、急激に価格を落とします。
築21年以上になると、ほぼ価格が落ちなくなります。
マンションの場合は、築6~15年の間が売り時です。また築21年以降はいつ売却しても構いません。
修繕履歴の面:築15年以上であっても、修繕した直後は売り時
3つ目のタイミングとしては、修繕履歴です。
以下のグラフは全国宅地建物取引業協会連合が行った中古住宅購入選考時に必要と思うことの消費者と不動産会社へのアンケート結果です。
この中で、買主の一番気にすることの1位は「履歴情報が残っていること」になります。履歴とは主に修繕履歴です。
「とにかく安いこと」の値段よりも修繕履歴の方を気にしているのがポイントです。
修繕履歴は、上述の築年数とも関係します。築15年以上になると、買主が購入後、修繕負担が重いため価格が下落します。
逆に築15年以上でも修繕をきちんと行って、それを買主へ説明できれば価格は大きく下がりません。
そのため築15年以上であっても、修繕した直後は売り時と言えます。
金利面:住宅ローンが低金利の時は、売り時
4つ目タイミングとしては、住宅ローンの金利が低い時です。
住宅ローンの金利が低ければ、返済総額を抑えることができるため、不動産を購入しやすくなります。
低金利で不動産購入の好機であれば、不動産需要が高まり、売却もしやすくなります。
下記グラフは毎年1月時点のフラット35の金利推移を表したものです。
※出典:【フラット35】借入金利の推移 (※返済期間が21年以上35年以下の場合で、毎年1月の最低金利を表しています。)
2004年1月の金利が2.89%だったのに対し、2020年1月の金利は1.27%まで下がっており、2024年11月現在においてはまだまだ低金利と呼べる状態が続いています。
低金利状態が続き、不動産購入しやすい状況なので、売却含めた不動産需要は今後も上がり続ける可能性が高いです。
税制の面:所有期間が5年超のタイミングで売却がオススメ
5つ目のタイミングとしては、税制です。具体的には所有期間です。
個人が不動産を売却して、譲渡所得が発生すると所得税を納めることになります。
この所得税に関しては、所有期間によって、下表のように税率が異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | |
---|---|---|---|
5年以下 | 30%※ | 9% | |
5年超 | 15%※ | 5% | |
10年超 (居住用財産のみ) | 課税譲渡所得の内6,000万円以下の部分 | 10%※ | 4% |
課税譲渡所得の内6,000万円超の部分 | 15%※ | 5% |
※:確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。
税率は、所有期間が5年以下の短期譲渡所得と5年超の長期譲渡所得で分けられます。
さらに売却対象が居住用財産の場合は、「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」が適用され、さらに税率が下がります。
そのため、税制のタイミングとしては、少なくとも所有期間が5年超のタイミングで売却するのが良いです。
ただし、売却対象が居住用財産の場合は、「3,000万円の特別控除」が適用できるため、所得税が発生する可能性は少ないです。
居住用財産であれば税制はあまり気にしなくても良いでしょう。
詳しくは下記記事をご参照ください。
また、個人投資家の売買するワンルームマンションや収益ビル等で、売却益が出そうな場合に5年超の所有期間を意識することをオススメします。
以上、ここまで税制から見た売却タイミングについて見てきました。
次に買い替えを行う際につなぎ融資を検討している方向けに考慮すべき点についてお伝えします。
【買い替え】引越のタイミングはつなぎ融資で調整
マンションや家の買い替えを行う場合は、引越しのタイミングも考慮して売却活動をすることが必要。
買い替えには、売却を先に行う売り先行と、購入を先に行う買い先行の2通りがあります。
売り先行のスケジュール
売り先行は、住宅ローンが残っていれば売却で返済して購入に移ることができるため、二重ローンを避けことができるというメリットがあります。
ただし、売り先行は引越を1回で終わらせようとすると、タイミングの調整が難しいという点がデメリットです。
売り先行の全体スケジュールを示すと以下のようになります。
売り先行では、引越を1回で終わらせるためには、売却と購入の売買契約をほぼ同じタイミングで行う必要があります。
買い先行のスケジュール
一方で、買い先行は、先に引っ越してしまうため、タイミングを無理に合わせる必要がなくなるというメリットがあります
ただし、買い先行は住宅ローンが残っている場合、購入する住宅との二重ローンが発生するという点がデメリットです。
買い先行の全体スケジュールを示すと以下のようになります。
引越しのタイミング調整は買い先行の方が遥に簡単。
売り先行でもつなぎ融資を使うとタイミング調整がしやすくなります。
つなぎ融資とは買い替えにおいて購入物件の代金支払いが売却物件の代金入金よりも先に来た場合など、一時的な資金不足を解消するために利用できるローン
つなぎ融資を使えば、売り先行を選択していた人が、急に購入物件が決まったり、想定外に売却が長引いたりしたときに、タイミングのズレを調整することができます。
また、疑似的に買い先行になりますので、先に引っ越すことができ、引越しのタイミングが合わせやすくなります。
引越しのタイミング調整が非常に楽になりますので、売り先行を予定している人は、つなぎ融資の利用も併せて検討した方が良いでしょう。
つなぎ融資については下記記事でさらに詳しく解説しています。
それでは次に筆者が考える迷ったらこのタイミングで売却するを解説します。
家やマンション・土地の売り時はいつ?
色々述べましたが、まとめると下記が結論です。
- 買い替えであれば、今がチャンス
- 可能であれば、1~3月を狙う
築年数ではなく、やはり市況というのは大切なポイントです。
市況が良い時は、銀行がお金を簡単に貸してくれるため、不動産を「買える人」が増えます。
買いやすい時期は売りやすい時期でもあります。
そのため、今のように購入希望者が融資を受けやすい時期は、売り時として良いタイミングと言えるのです。
株価が下がる翌年に売る選択肢も
過去の傾向を見ると家の価格は、株価の動きに遅れて波がやってきます。
売却するベストの時期やタイミングを探るなら、株価がピークに達した翌年に売ることをオススメします。
以下に、過去の東京の地価公示の価格推移と、日経平均株価の推移のグラフを示します。青のラインが東京都の地価、赤のラインが日経平均株価の動きです。
赤のラインが株価、青のラインが土地価格を示します。
株価は不動産価格の先行指標と呼ばれており、不動産の価格は株価に1~2年程度遅れて動きます。
よって、株価が下がったら、その次の年に売却すればピークを捉えて売却することが可能です。
2021年まで日経平均株価は総じて上昇傾向でしたが、2022年現在は日経平均株価は下降しています。
つまり2022年の秋ぐらいから不動産価格が下落可能性が高いです。
つまり今の時期から動き出すのがベストと考えます。
信頼できる不動産会社を探すオススメの方法
不動産売却で大事なことは、「信頼できる不動産会社を探せるか」。
不動産会社によって、得意としている不動産も異なりますし、この地域は得意・不得意などあります。
中には売却金額に数百万、数千万の差が出ることも。
ただ、あなただけの力でそのような不動産会社に出会えることは難しいと思います。
不動産会社を1社1社回って話を聞いていても、逆に迷うことになり時間ばかりが過ぎてしまいます。
そこで筆者がオススメしているのが「不動産一括査定サービス(サイト)」です。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
不動産一括査定を使えば、ネットからカンタンに複数社に査定依頼ができるのです。
不動産一括査定のオススメは「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」
不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。
その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。
上記を見ると超大手だけに依頼ができる「すまいValue」だけで良いように思えます。
ただし、不動産売却を成功させるなら大手だけではダメ。不動産会社には得意・不得意があるためです。
だから下記のように複数の不動産一括査定サイトを併用して大手・中堅・中小にも依頼できるようにするのが成功の秘訣です。
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。
どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。
不動産一括査定サイト名 | 机上査定が対応 | メール要望 |
---|---|---|
すまいValue | ○ | ○ |
SUUMO | ○ | ○ |
HOME4U | ○ | ○ |
イエウール | × | × |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | × | ○ |
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
一括査定サイトは下記記事でさらに詳しく解説しています。
まとめ
不動産を売却するベストなタイミングと抑えるべき5つのポイントについてみてきました。
ベストタイミングは築年数だけでは決まりません。
市況や季節、築年数を考慮しながら売却を決めるのが良いでしょう。