プロが教える!住宅ローンが残っている不動産を売却する3つの方法

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東京オリンピックに向けて不動産価格の高騰が続く中で、売却の絶好のチャンスはあと数年と言われています。

そのような中、売却したくても

  • 売却予想額よりも住宅ローン残債が高くて売るに売れない
  • 住宅ローンが売却額よりも上回っているときの対処方法を知りたい
  • 住宅ローンが残っているときの不動産の売却について知識や注意点を知りたい

等々のことを思っている方も多いと思います。

結論からすると、住宅ローンの残っている不動産は、抵当権を外すことができれば、売却は可能です。

ただし、住宅ローンが売却額よりも上回っているときは、返済しきれない不足額を補うための対応が必要になります。

そこで今回の記事では、住宅ローンが残っている不動産の「売却」にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことであなたは住宅ローンつきの不動産をお得に売却する方法を知ることができます。

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1.抵当権と不動産売却の関係

1-1.抵当権を外さないと売却はできない

住宅ローンが残っている不動産は、抵当権を抹消することで売却が可能です。

抵当権とは、銀行からお金を借りるときに土地と建物に設定した担保権のことです。

理屈の上では、抵当権が付いたままでも不動産を売却することは可能です。

ところが、売主の抵当権が付いたままだと、売却後、もし売主が住宅ローンの支払いが滞ってしまうと、その物件は競売にかかり買主が家を退去しなければならなくなります。

このように抵当権が付いたままの物件は、買主に大きなリスクがあります。

そのため、通常、買主は抵当権付きの不動産を購入することはありません。

抵当権が外れた物件を購入することが、買主側の絶対条件となります。

よって、住宅ローンの残っている不動産は、売却するためには抵当権を外すことが必要条件となります。

1-2.抵当権の抹消方法

住宅を購入したのは、何年も前のことであるため、自分が抵当権を設定していたかどうか記憶にない方もいると思います。

抵当権がついている物件は、具体的には土地と建物の登記簿謄本の「乙区」と呼ばれる部分に以下のような記載があるため、抵当権の有無はすぐに確認できます。

権利部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
1 抵当権設定 平成〇年〇月〇日 第*****号 原因 平成〇年〇月〇日設定 債権額 金5,000万円 利息 年1.5%(年365日の日割計算) 損害金 年18.250%(年365日の日割計算) 債務者 ○○市○○12番地34  ○○ ○○ 抵当権者 ○○市○○56番地78  ××銀行 共同担保 目録(〇)第****号

売却する際は、この記載を抹消します。

これを抵当権の抹消登記と言います。

抵当権は抹消されると、以下のように抹消部分にアンダーラインが引かれます。

権利部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
1 抵当権設定 平成〇年〇月〇日 第***** 原因 平成〇年〇月〇日設定 債権額 金5,000万円 利息 年1.5%(年365日の日割計算) 損害金 年18.250%(年365日の日割計算) 債務者 ○○市○○12番地34  ○○ ○○ 抵当権者 ○○市○○56番地78  ××銀行 共同担保 目録(〇)第****

見た目上は、謄本にずっと記載が残りますが、このアンダーラインが引かれているということは、「抹消されている」ということを意味します。

住宅ローンが残っている不動産を売却するには、登記簿謄本に記載されている抵当権の抹消手続きが必要になります。

この手続き自体は司法書士が行います。

尚、司法書士への費用等については、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

家を売却する際の司法書士の役目と金額目安について

家を売却する際は、司法書士に登記の変更を依頼します。 普段、司法書士に依頼するようなことはないため、不動産売却によって初 ...

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1-3.抵当権抹消は引渡と同時に行う

抵当権を抹消するためには、債権者(お金を貸している銀行)から抹消書類をもらわなければなりません。

この抹消書類をもらうには、住宅ローンを完済する必要があります。

通常、住宅ローンが残っている不動産を売却する場合は、売却額で住宅ローン残債を返済することが一般的です。

売却額は、物件の引渡の日に入金されます。

その入金額をもって銀行は抵当権の抹消に必要な書類を司法書士へ渡します。

つまり、家の引渡と抵当権の抹消は同時に行うことになります。

引渡では、「残金入金」→「売主の抵当権抹消」→「所有権の移転」→「買主の抵当権設定」というイベントを同時に行います。

そのため、住宅を売却する際は、事前に必ず住宅ローンを借りている銀行へ連絡をしておきます。

引渡の日も同席してもらうように調整しておくことが必要です。

以上、ここまで抵当権と不動産売却について見てきました。

住宅ローン付の不動産売却の流れは以上のようになりますが、その前にもっと重要なことがあります。

それは住宅ローン残債と売却額の関係です。

そこで次に住宅ローン残債と売却額の関係について見ていきましょう。

2.住宅ローン残債と売却額の関係

住宅ローンと売却額の関係により、以下のように呼び名が変わります。

呼び名 状態
アンダーローン 住宅ローン残債が売却額よりも低い場合
オーバーローン 住宅ローン残債が売却額よりも高い場合

住宅を売却するにしても、実はアンダーローンとオーバーローンとでは、状況が全く異なります。

住宅ローンが残っている状態で不動産を売却する場合は、まず、アンダーローンがオーバーローンを把握することから始めることが必要です。

最初に、ローン残債については、正確な数値を銀行に確認するようにして下さい。

銀行には、「住宅借入金の残高証明書」という書類を要求し、ローン残債を把握します。

次に行うのは不動産の査定です。

査定額はあくまでも不動産会社の売却予想額なので、できるだけ多くの不動産会社の意見を聞くようにして下さい。

1社だけの意見価格だと、後々、ブレが生じる可能性があります。

アンダーローンか、オーバーローンを判定するための査定はとても大事なので、複数社の意見価格を聞くようにしてください。

アンダーローンだと思っていたら、実はオーバーローンだったということもあり得ます。

査定額は、無料の一括査定サイトを使うのが便利です。

不動産一括査定サービスとは?

インターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報と個人情報を入力すると、その情報を元に査定先、売却先の不動産会社が自動的に抽出されて、複数の不動産会社に一度に査定依頼が行えるサービスです。
不動産一括査定のイメージ図

不動産一括査定のイメージ図

無料で最大6社まで、訪問までしてくれて査定してくれます。もちろん、机上査定(簡易的な査定)もすることも可能です。

まずは複数社から査定を取り、「だいたいの範囲」を把握するようにしてください。

2-1.一括査定のオススメは「すまいValue」「HOME4U」

不動産一括査定は筆者が知っているだけでも30はあります。

中でも複数かつ信頼できる不動産会社を比較できる8つのサービス(サイト)に厳選。

その中でも

  • 大手の不動産会社6社に査定依頼ができるすまいValue
  • 運営している会社がNTTグループのHOME4U

の2つを特にオススメしています。

下記表が「不動産売買の仲介件数が多い不動産会社」が「どこの不動産一括査定に参加しているのか」を調査した結果です。

少し見にくく、そこまでじっくり見る必要はありません。流し読みしてください。

不動産会社 2017年度
不動産売買
仲介件数
すまいValue HOME4U リガイド イエイ イエウール
三井不動産リアリティネットワーク 38,612 - - - -
住友不動産販売 36,108 - - - -
センチュリー21グループ 27,336 -
東急リバブル 23,278 - - -
野村不動産グループ 8,272 - - -
三井住友トラスト不動産 7,362 -
大京グループ 6,828 -
その他 179,074
合計/取引シェア 326,870 33.29% 31.62% 21.01% 19.94% 20.49%
公式サイト すまいValue HOME4U リガイド イエイ イエウール

※○:査定依頼が行える △:一部不動産会社を行える -:査定依頼が行えない
※出典:2017年度不動産売買仲介件数は不動産業統計集より

上記表を見ると、「三井不動産リアリティネットワーク」「住友不動産販売」「センチュリー21グループ」「東急リバブル」の4社が他の不動産会社に比べて、仲介件数が一桁多いことがわかると思います。

計算してみましたが、日本の不動産売買の仲介件数全体の38.3%をその4社で占めています。

それだけ日本の不動産売買の取引は、大手に偏っているということです。


以上のことからも、筆者としては「取引実績TOP4社のうち3社に査定依頼ができるすまいValue」をオススメしています。

すまいValue

すまいValue公式サイト
https://sumai-value.jp/

大手のみという安心感はもちろん、取引実績から見ても先ず間違いありません。

すまいValueはコチラ → https://sumai-value.jp/

ただし、すまいValueの弱点を上げるとすれば、地方には対応していない可能性がある点です。

その場合は、NTTグループが運営するHOME4Uがオススメです。

HOME4U

HOME4U公式サイト
https://www.home4u.jp/

HOME4Uも取引実績TOP4社のうち2社に査定依頼ができますので、他の不動産一括査定に比べても勝っています。

NTTグループ運営である安心感はもちろん、利用者数500万人、2001年から運営と利用者、運営歴がNo.1の一括査定です。

HOME4Uは大手のみだけではなく、中堅や地方の不動産会社にも依頼ができます。

もちろん、依頼できる不動産会社はNTTならではの厳重な審査を行っておりますので、安心できます。

HOME4Uはコチラ → http://www.home4u.jp/

1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)での売却を考えているのであれば、ソニー不動産もオススメできます。

ソニー不動産

ソニー不動産公式サイト
https://sony-fudosan.com/

ソニー不動産は、エージェン制を採用しており、シンプルに言うと売主に特化しているという点です。

他の不動産会社と違い、ソニー不動産は買主を担当しないので、「無理にでも値段を下げて」不動産取引を成立させるということはまずありません。

しかも今なら不動産売却の秘訣DVDが無料でもらえます。

ソニー不動産はコチラ → https://sony-fudosan.com/


少し長くなりましたので、再度まとめます。

不動産売却成功のシナリオ

  • とにかく安心できる大手の不動産会社のみでOKという方はすまいValue
  • 大手不動産会社も含めて、多くの不動産会社に相談したい!でも安心したいという方はHOME4U
  • 【1都3県限定】売主のことのみ考えてくれるソニー不動産

上記で紹介した不動産一括査定以外にもありますので、ネット上でよく比較される不動産一括査定サイトの特徴を一覧でまとめました。

サイト名 提携不動産会社 対応地域 利用者数 運用歴 強み 弱み
すまいValue 6社(超大手会社のみ) 全国
※人口の少ない都市は未対応
非公開 2015年~ 超大手の不動産会社のみで安心
・1位の「三井不動産」2位の「住友不動産」に査定依頼が行える唯一の一括査定
地元密着の不動産会社は探せられない
HOME4U 900社 全国 500万人
※2016/12時点
2001年~

利用者実績、運営歴ともにNo.1
・NTTグループ運営だから安心!
・3位の「東急リバブル」に依頼ができるHOME4U(他依頼が行えるのはすまいValueのみ)

提携不動産会社が少なめ
ソニー不動産 非公開 東京・神奈川・千葉・埼玉のみ 非公開 2014年~ 国内唯一のエージェント制を導入で売手に特化
・不動産売却の秘訣DVDが無料でもらえる!
一都三県のみしか対応できない
リガイド 600社 全国
非公開 2006年~ 一度の申し込みで最大10社を比較できる唯一のサイト
・旧SBIグループが運営、厳選に不動産会社をチェックしている
提携不動産会社が少なめ
マンションナビ 非公開 全国
※マンション専用
360万人 2011年~ 売却だけではなく賃料査定も同時に行える
・最大9社からの査定結果を比較できる
査定が可能なのはマンションのみ(土地などは不可)
イエイ 1,000社 全国 300万人
※2016/02時点
2007年~ 悪徳な不動産会社を徹底的に排除している
・サポート体制が充実
お役立ち情報が少ない
イエウール 1,400社 全国 450万人
※2015/03時点
2013年~ ・比較できる不動産会社がNo.1
・利用者数が多い安心の実績
運営歴が浅い
スマイスター 1,200社 全国 350万人
※2015/12時点
2006年~ ・売却だけではなく、賃貸した場合の査定も可能 運営会社が広告会社

超大手の不動産会社のみに相談するなら「すまいValue」
https://sumai-value.jp/

すまいValue

すまいValue公式サイト
https://sumai-value.jp/

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利用者数、運営歴No.1「HOME4U」
https://www.home4u.jp/

HOME4U

HOME4U公式サイト
https://www.home4u.jp/

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【1都3県限定】売手にとにかく特化!「ソニー不動産」
https://sony-fudosan.com/

ソニー不動産

ソニー不動産公式サイト
https://sony-fudosan.com/

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一度の申し込みで最大10社が比較できる唯一のサイト「リガイド」
http://www.re-guide.jp/

リガイド

リガイド公式サイト
http://www.re-guide.jp/

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【マンション限定】売却だけではなくて「賃貸査定」も行えるマンションNavi
https://t23m-navi.jp/

マンションnavi

マンションnavi
https://t23m-navi.jp/

cvbutton3

不動産一括査定についてさらに詳細が知りたい方は下記記事をご確認ください。

不動産一括査定は大丈夫?利用者のリアル評判とデメリットまとめ

不動産を売りたい!と考えていてインターネットで色々なサイトを見ていると「不動産一括査定」や「不動産売却の一括査定」がよく ...

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以上、ここまで住宅ローン残債と売却額の関係について見てきました。

住宅ローン残債と売却額の関係が判明した後は、対策を変えることが重要です。

まずはアンダーローンの場合についてご紹介します。

3.アンダーローンの場合はスムーズに不動産売却ができる

アンダーローンで不動産を売却する場合は、基本的に問題はありません

第一章で説明した手順に基づき、粛々と売却手続きを進めていきます。

近年は新築物件の価格が高騰しており、新築に手が届かない人たちが中古住宅を選択する傾向が増えています。

そのため、中古住宅も需要が伸びており、新築市場と連動して価格が高騰しています。

今は一番高く売却できる時期ですので、積極的に売却活動を進めてください。

売却のタイミングについては下記に記載していますので、ぜひご参照ください。

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尚、予想以上に高く売れて譲渡所得が発生した場合、特例を利用することで節税を図ることが可能です。

住宅を売却して節税をする場合の特例については、下記に詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

3,000万円特別控除とは?不動産を売却しても税金を払わなくてもいい理由

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以上、ここまでアンダーローンの場合について見てきました。

それでは次にオーバーローンの場合について見ていきます。

4.オーバーローンで売却する3つの方法

4-1.オーバーローンで売却する3つの方法

住宅ローン残債が残っている不動産の売却で、問題となるのがオーバーローンの物件です。

オーバーローンの場合は、売却額では返済しきれない残債を何らかの手段によって返済しない限り、抵当権を抹消することはできません。

オーバーローンの住宅を売却する場合、返済しきれない残債の返済方法としては、主に以下の3つがあります。

  1. 貯金を活用して返済する。
  2. 住み替えローンを活用して返済する。
  3. 無担保ローンを活用して返済する。

ポイントとしては、足りない部分を何で補うのかという点です。

貯金で補うのが①の方法で、借入で補うのが②と③の方法になります。

オーバーローンの場合は、とにかく今の不動産を高く売却することが重要です。

高く売却して、売却額で返済しきれない残債を最小限にとどめる必要があります。

住宅を高く売却する実行手段として有効なものには、瑕疵担保保険の付保があります。

瑕疵担保保険を付保した物件は、購入者の不動産取得税や登録免許税が安くなるため、相場よりも1割くらい高く売却できている事例が多いです。

瑕疵担保保険については、下記に詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

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また売却方法についても、高く売却するためには疑似入札形式で売却することをオススメします。

疑似入札方式で売却する方法については下記に詳しく記載しています。ぜひご参照ください。

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では次に、売却額で返済しきれない残債の返済方法について見ていきます。

4-2.貯金を活用する

売却額で返済しきれない残債が、預貯金で賄えるようであれば、預貯金で返済してしまうのが、最も確実です。

返済しきれない残債を、他のローンで返済しようとすると、そのローンを組むために審査を受けなければいけません。

ローンをローンで返す場合、一般的に審査のハードルは高くなります。

自分の預貯金で対応しきれない場合は、親族に借入をすることができないかを打診することも一つの手です。

今後の生活のためにも、まずは余計な銀行借入を増やさない策を考えるようにして下さい。

4-3.住み替えローンを活用する

買い替えを行う人は、住み替えローンが使える可能性があります。

住み替えローンは新たに購入するマンションの住宅ローンに加え、売却額とローン残債の差額分も借りるローンです。

住み替えローンは住宅ローンであるため、金利も低いというメリットがります。

ただし、住み替えローンは誰しもが利用できるわけではありません。

住み替えローンは新しく購入するマンション価格以上の借入を行うため、審査のハードルは高いというのが理由です。

「新たな住宅の購入額+売却額とローン残債の差額分」が、自分が借りることのできる住宅ローンの範囲に収まっていれば、住み替えローンは可能です。

新たに購入する住宅の価格をできるだけ安い物件に抑えれば、可能性が出てきます。

4-4.無担保ローンを活用する

この方法はあまりオススメしませんが、売却額で返済しきれない残債部分を、無担保ローンを借りて補填するという方法があります。

無担保ローンには、都市銀行が行っているフリーローンやカード会社が行っているカードローン等があります。

無担保ローンはいずれも金利は住宅ローンよりも高いため、低い金利の借入をわざわざ高い金額に借り換えることになります。

無担保ローンによる借入は、自己資金が無く、かつ、どうしても住宅を売却しなければならない人の最終手段と考えてください。

以上、ここまでオーバーローンの場合について見てきました。

オーバーローンの売却は、どうしてもお金が必要になります。

そのため、オーバーローンで売却する人に対しては、税制面でも救済策が存在します。

そこで、次にオーバーローンのときの売却で使えるお得な居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例についてご紹介します。

5.居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

5-1.居住用財産とは

マイホームを売却する際、オーバーローンになっていることは多いです。

離婚などの売却の必要性がある人でも、オーバーローンを理由に売却を諦めてしまうことも少なくありません。

そこで、国としてもオーバーローンの状態でも売却しやすくなるような税制特例を設けています。

その特例は、「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。

居住用財産とはマイホームのことですが、具体的には以下の要件を満たす住宅になります。

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

5-2.特例の概要

この特例は、不動産を売却した際の譲渡損失の金額のうち、住宅借入金等の金額からその譲渡資産の譲渡価額を控除した残額を限度として、他の所得との通算および翌年以後3年間の繰越控除ができる制度です。

本特例は、下図のようなオーバーローンの状態で適用されます。

  • A(オレンジ色)は、売却する不動産の取得費及び譲渡費用を表します。
  • B(赤色)は売却した譲渡価額です。
  • C(青色と赤色)はローン残高になります。Cの青色の部分はオーバーローン部分を表します。

上図の不動産を売却すると、以下の式で表される譲渡損失が発生します。

譲渡損失 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 < 0

     = B(赤色) - A(オレンジ色)

この譲渡損失のうち、以下の式で表される部分が、繰越控除限度額になります。

上図の青色部分です。

繰越控除限度額 = ローン残債 - 譲渡価額

        = C((青色と赤色) - B(赤色)

        = 青色部分

5-3.特例の具体的計算

例えば、Aさんが平成29年に以下のようなオーバーローンの状態でマイホームを売却したとします。

項目 金額
住宅ローン残債 6,300万円
譲渡価額 3,800万円

Aさんの平成29年から平成31年の給与所得と源泉徴収税額は以下の条件とします。

年次 給与所得 源泉徴収税額
平成29年 960万円 767,700円
平成30年 980万円 781,000円
平成31年※ 1,020万円 802,500円

※平成31年の所得控除額は256万円とします。

オーバーローンで売却したため、繰越控除限度額は、以下のように計算されます。

繰越控除限度額 = ローン残債 - 譲渡価額

        = 6,300万円 - 3,800万円

        = 2,500万円

平成29年の損益通算は以下のように計算されます。

損益通算 = 960万円 - 2,500万円

     = ▲1,540万円 (これは翌年に繰り越される金額になります。)

よってこの年の所得税はゼロとなり、源泉徴収税額の767,700円は全額還付されます。

次に平成30年の損益通算は以下のように計算されます。

損益通算 = 980万円 - 1,540万円

     = ▲560万円 (これは翌年に繰り越される金額になります。)

よってこの年も所得税はゼロとなり、源泉徴収税額の781,000円は全額還付されます。

さらに平成31年の計算を行います。

損益通算 = 102万円 - 560万円

     = 460万円 > 0円

平成31年になり、繰越控除の対象となる譲渡損失の残額は全て控除されました。

そのため、平成31年は所得税が発生します。

その計算は以下のようになります。

所得税 = (損益通算後の所得 - 所得控除額) × 税率 - 控除額

    = (460万円 - 256万円) × 10% - 97,500円

    = 106,500円

課税所得は204万円(=460万円-256万円)であるため、課税所得と税率、控除額は下表の195万円超~330万円以下を用いています。

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

さらに復興所得税額は以下のように計算されます。

復興所得税 = 106,500円 × 2.1%

      = 2,236円

よって、復興所得税を合わせた所得税は以下のようになります。

所得税 = 106,500円 + 2,236円

    ≒ 108,700円

この108,700円が平成31年の所得税になります。よって、還付される源泉徴収税額は以下のようになります。

還付される額 = 源泉徴収税額 - 所得税額

       = 802,500円 - 108,700円

       = 693,800円

5-4.特例の適用要件

本特例を適用するには、以下の要件が必要になります。

項目 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
譲渡資産の所有期間等 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年超のもの
譲渡資産の住宅借入金の有無 譲渡契約締結日の前日において借入金残高があること
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下であること
繰越控除等される金額 損失の金額のうち、「ローン残債―譲渡価額」の金額を限度として他の所得との通算及び3年間の繰越控除の対象となる。

5-5.特例を受けるための手続き

本特例を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

確定申告は、売却した翌年の3月15日までに所轄の税務署に対して申告します。

本特例を適用する場合、確定申告書に下記の書類を添付して税務署に提出する必要があります。

必要資料 入手先
除票住民票 旧住所の市区町村役場より入手
譲渡資産の登記事項証明書 法務局により入手
譲渡所得計算明細書 税務署または国税庁のHPより入手※
住宅借入金残高証明書 借入先の銀行より入手

尚、本特例を適用する際、提出する第三表の「特例適用条文」は「措法41条5の2」と記入します。

以上、ここまで居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について見てきました。

このようにオーバーローンの住宅の売却であれば、税金を取り戻せるというお得な特例があります。

オーバーローンで売却する場合は、是非、この特例を活用してみてください。

尚、類似の特例として、「買換え」を前提とした場合には、居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について徹底解説という特例も存在します。

買換えの特例に関しては、下記に詳しく記載しています。ぜひご参照ください。

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について徹底解説

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6.まとめ

以上、住宅ローンが残ったまま不動産を売却する方法とお得な税制特例についてについて見てきました。

特にオーバーローンの方は、物件を高く売る方法を追求し、売却では返済しきれない残債部分をなるべく小さくすることがポイントです。

税制特例なども上手く活用しながら、住宅ローンが残った不動産の売却を成功させましょう。

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