インターネットによって様々なものが個人間で売買できるようになり、不動産も個人売買に注目が集まっています。
不動産は金額が大きく、売却後のトラブルも多いため、個人で不動産売買をするには、売主・買主共に注意を払う必要があります。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 不動産で個人売買するのは可能なのだろうか?
- 個人売買って、不動産会社の仲介を頼んだときと何が違うの?
- 個人売買をするときは何に注意すればいいの?
そこでこの記事では、「不動産の個人売買」にフォーカスしてお伝えします。
この記事を読むことであなたは、不動産を個人売買するときの注意点と、仲介を入れたときの違いについて知ることができます。
個人売買で大きなリスクを負うのは買主
個人売買で大きなリスクを負うのは買主です。
不動産は何千万円もする高額な買い物になるわけですから、よく分からないものに大金を支払うのは大きなリスクを伴います。
不動産は法律の規制が厳しく、一般の人には良く分からない規制も多いです。
例えば、土地の規制の中には、市街化調整区域と呼ばれる規制があります。
市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域のこと
市街化調整区域にある土地は基本的に家を建てることができません。
そのような事実を知らずに、家が建つものと思って購入してしまうと、大きな被害を被ってしまいます。
不動産会社が仲介で入る意義
このような事態を避けるために、不動産会社が存在します。
不動産会社は単に仲介をするだけではなく、買主に対して重要事項説明を行います。
それをしっかりと書面に残します。
重要事項説明では、市街化調整区域のような土地の売買でも、不動産会社が「ここは建物が建てられない土地です」としっかり説明することになります。
重要事項説明は、不動産会社が独自に調査した法的規制をしっかりと買主に説明するため、基本的には「知らなかった」ということがない状態で物件を購入することができます。
個人売買では、「良く知っているものを売る売主」と「良く知らないものを買う買主」の取引となりますが、圧倒的にリスクを負うのは「良く知らないものを買う買主」です。
そのため、個人売買は、基本的には買主の了承を前提にしないとできません。
売主が希望しても、買主が望まなければ、できないということになります。
以上、ここまで個人売買で大きなリスクを負うのは買主であることについて見てきました。
個人売買の際は、売主・買主ともに注意すべき点があります。
【売主側】不動産を個人売買するときの2つの注意点
個人売買において売主には、以下の2つの注意点があります。
売主が個人売買をする2つの注意点
- 価格に妥当性があるか
- 瑕疵担保責任をきちんと理解しているか
注意点1.価格に妥当性があるか
個人売買では、価格に妥当性があるのかがよく分かりません。
売主のリスクとしては、「安過ぎたかもしれない」という事態が発生することです。
安過ぎる価格で売れば損をしますし、高過ぎる価格で売れば売れないこともあります。
適正な価格がいくら何かというのは、個人ではなかなか分からない部分があり、第三者の査定を取らない個人売買では、価格の妥当性が注意点となります。
なので、例え個人売買にするにしても複数の不動産会社から査定額をもらっておきましょう。
不動産一括査定サイトを使うと簡易査定が複数社から受けられる
今、売主にとって常識となりつつサービスがあります。それが不動産一括査定です。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
不動産一括査定サイトを使うと、一気に複数社に査定依頼が行えます。
しかも「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」などでは机上査定がありますので、メールで査定書をもらえます。
さらには要望欄もありますので、「メールで査定額の提示を希望」と書けば、不動産会社にも伝わります。
「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」がオススメの不動産一括査定サイトですので、ぜひ利用して査定額をもらっておきましょう。
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
注意点2.瑕疵担保責任をきちんと理解しているか
売主は瑕疵(かし)担保責任をきちんと理解して売ることが必要です。
瑕疵担保責任とは、売却後に売主が負う損害賠償や契約解除等の責任のこと
瑕疵担保責任というのは民法第570条に定められている責任であり、売主としては最も注意すべき規制です。
瑕疵とは、売買契約の目的物が通常有すべき品質・性能を欠くこと。例えばシロアリ被害や雨漏りなど。
民法では瑕疵が発見されたとき、買主は「発見後1年間」は売主に対し損害賠償を、契約の目的が達成できない場合は解除を請求できると定めています。
個人売買で、もし売主と買主が何も取決めをせずに売却した場合、この民法の原則が適用されます。
民法の原則が適用されると、売却後、例えば50年や100年経っても、瑕疵を「発見後1年間」は、売主は瑕疵担保請求を受けることになります。
このような非常識な原則を避けるため、不動産の売却では通常、売主の瑕疵担保責任の免責事項を設けます。
ただし、売買契約書でたとえ瑕疵担保責任を免責したとしても、売主が知っていて買主に事前に告げなかった瑕疵については、免責対象とすることはできません。
瑕疵担保責任は売主にとってとても気持ち悪い規制であり、不動産会社が間に入れば、売主に変な責任が負わないように、アドバイスや契約書の整備をしてくれます。
もし個人売買をするのであれば、売主はしっかりと瑕疵担保責任の意味と対処法を理解しておくことが重要です。
売却後に瑕疵担保請求を受けないように注意をしましょう。
瑕疵担保責任については下記記事に詳しく記載しています。
【買主側】不動産を個人売買するときの2つの注意点
個人売買において買主には、以下の2つの注意点があります。
買主が個人売買するときの2つの注意点
- 価格に妥当性があるか
- 目的に合致した利用ができるか
注意点1.価格に妥当性があるか
買主も価格の妥当性についてはリスクがあります。
買主のリスクとしては、「高過ぎたかもしれない」という事態が発生することです。
価格を良く調べずに売主の「言い値」で購入すると、高く買い過ぎてしまうことがあり、注意が必要です。
適正な価格で購入するのであれば、本来なら第三者に査定をしてもらうことが必要となります。
注意点2.目的に合致した利用ができるか
買主は、購入する不動産が目的に合致した利用ができるかというのをきちんと調べて購入する必要があります。
例えば、工場を建てるつもりで市街化調整区域の土地を購入してしまうと、工場を建てることができないため、購入の目的を達成できなくなってしまいます。
また、道路に接していない土地を購入してしまい、建物を建てられない土地もあります。
建物は、幅員が4m以上の建築基準法上の道路に、間口が2m以上接していないと建てることができません。
このような細かい規制を知らずに購入してしまうと、使えない土地を購入してしまうことになり、大きな損失を被るリスクがあります。
もし、自力で不動産を間違いなく購入するのであれば、本当なら宅建に合格するくらいの知識があった方が安全です。
知識がないまま不動産を購入してしまうと、騙されることも多く、何千万円も支払う詐欺にあってしまうことがあります。
不動産は法律の規制が厳しいため、不動産会社に間に入ってもらい、きちんと調べてもらうことが重要となります。
ろくでもない物件を掴まされる可能性がありますので、十分に規制を調べた上で購入する様にしてください。
以上、ここまで個人売買で買主の注意点について見てきました。
では仲介を入れたときと個人売買では、どのような違いがあるのでしょうか。
不動産を個人売買するときと仲介のときの2つの違い
仲介を入れたときの主な違いは、以下の2点です。
- 仲介手数料を無料にできる
- 重要事項説明がない
違い1.仲介手数料を無料にできる
個人売買のメリットは、なんといっても仲介手数料を無料にできるという点です。
仲介手数料は、やはり高いという批判が多いです。
不動産会社が受け取ることのできる報酬は、国土交通省の告示によりその限度額が以下のように定められています。
取引額※1(売買金額) | 仲介手数料の上限額(税抜きの速算式) |
---|---|
200万円以下 | 5%(18万円※2) |
200万円超から400万円以下 | 4%+2万円(18万円※2) |
400万円超 | 3%+6万円 |
※1.取引額は、物件の本体価格をいい、消費税を含まない価格を指します。
※2.空き家などの現地調査が必要な取引の場合(2018年より施行 出典:国土交通省より)
通常、不動産会社は仲介手数料を上限額の満額で請求してきます。
3,500万円の物件を売買したとしても、111万円(=3,500万円×3%+6万円)もかかります。
特に、買主は1~2回くらいしか不動産会社に会っていないのに100万円を超えるような仲介手数料を払うこともあり、「なんでこんなに高いのか?」と憤慨する人は多いです。
個人売買をしたがる人が多いのは、まさしく仲介手数料が高過ぎることが原因となっています。
仲介手数料については下記記事に詳しく記載しています。
違い2.重要事項説明がない
仲介がないと、重要事項説明がないというのが最大の問題点です。
重要事項説明は買主に対して行われるため、売主はそもそも問題にはなりません。
買主に不動産に関する専門知識があれば、重要事項説明がなくても大丈夫ですが、専門知識がなければやはり不安だと思います。
極論すると、売主にとっては、仲介はあっても、なくても大きな問題は生じないです。問題は、買主となります。
仲介がないと、全て買主がリスクを負って高額の物件を購入することになります。
買主は物件のことを良く調べてから買うようにして下さい。
以上、ここまで仲介を入れたときの違いについて見てきました。
ローンが残っている不動産売買をする際には、登記にも注意する必要があります。
ローンが残っている不動産を個人売買するときの注意点
個人売買では登記も「司法書士に頼むか」または「自分たちで行うか」という選択も発生します。
登記については、基本的には法務局に当事者が行くと、親切に教えてくれますので司法書士に頼まなくても、所有権移転登記なら自分たちでできます。
ただし、ローンが残っているときは注意が必要です。
ローンが残っているときは、物件に抵当権が付いており、抵当権の抹消登記をする必要があります。
抵当権とは、債務者(お金を借りる人)が不動産などを自分の手元に留めたまま、債務の担保として提供し、債権者がその担保目的物から優先的に弁済を受けることができる権利
抵当権の抹消登記は、銀行が売買当事者のみで行うことを嫌がります。
確実に抹消させるためにも、司法書士に依頼するよう要請してくることが多いです。
そのため、ローンが残っている場合には、最低でも抵当権抹消登記は司法書士に依頼するのが良いでしょう。
大よそ司法書士への報酬額として、1万~1.5万円程度は掛かります。
司法書士にお願いするときの相場や方法は下記記事でさらに詳しく解説しています。
まとめ
不動産を個人売買するときの注意点と、仲介を入れたときの違いについて見てきました。
不動産を個人売買すれば、仲介手数料を節約することはできますが、売主・買主ともにリスクを伴います。
特に、買主は大きなリスクを伴いますので、必ず買主の了承を得た上で行うようにしてください。