土地を売却する機会は、人生でそう何度もない人がほとんどだと思います。
まず、何からはじめていいのか、わからなくて当然です。
でも、土地の取引は大きな金額が動くので、絶対に失敗したくありませんね。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 土地売却の流れは?
- 自分で相場を調べることはできる?
- 土地を高く売却するコツは?
- 土地売却でトラブルにならないための注意点は?
この記事を読むことで、土地売却相場を調べる方法や、土地価格を決める要因、土地売却の注意点について知ることができます。ぜひ最後までご覧ください。
土地売却の流れ
まず土地売却の流れを押さえておきましょう。
スムーズに売るために、一番重要なのは、「査定依頼→媒介契約の締結」の部分。
不動産会社にはそれぞれ得意分野や得意エリアがありますので、土地の売却を得意としている不動産会社を見つけることがポイントになります。
土地の売却では、第三章で詳しく説明しますが、境界や契約不適合責任など、「土地特有の注意点」があります。
良い不動産会社を見つけて、媒介契約を結び、プロに相談しながら進めることが大切です。
信頼できる不動産会社を短時間で見つけるためには、一括査定サービスがオススメです。
「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」などの一括査定を利用して、あなたの土地を親身になって売ってくれる不動産会社を効率的に探しましょう。
不動産一括査定については、後ほど詳しく説明します。
先に不動産一括査定について知りたい方は「コツ2:信頼できる不動産会社を探す」へ進んでください。
土地売却の相場の推移
公益財団法人東日本不動産流通機構によると、過去10年における土地(100~200㎡)の土地単価取引件数の推移は以下の通りです。
※出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」
土地価格は取引件数が増えると1年くらい遅れて価格が上昇する傾向にあります。
2018年から2019年にかけて取引件数は若干減っており、土地価格には頭打ち感が出始めています。
一方で、気になるコロナ禍の影響も見てみます。
緊急事態宣言が出された2020年の4月と5月は取引件数が大幅に落ち込みました。
※出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch 2020(令和2)年06月度」
取引件数が落ち込んだことから、2020年の4月と5月は若干土地価格が下がっています。
一方で、2020年6月には取引件数が回復したことから、土地価格は再び上向いています。
2022年問題と土地相場について
2022年問題とは、都市部にある一部の農地が宅地並みの課税となるため、農家が農地を大量に手放すのではないかという問題
2022年に市街化区域という非常に人口の多いエリアで広い土地が大量に発生する可能性があることから、2022年問題は話題となっているのです。
農地が宅地に向けて転用され売却される事が予測されており、宅地が急増して全体としての不動産価値が下がってしまうことが予測されています。
2022年問題については、以下の記事で詳しく解説しています。
これまで土地売却相場の価格推移について見てきましたが、次に土地の売却相場を自分で調べる方法についてお伝えします。
土地売却の相場を自分で調べる8つの方法
実は不動産会社の査定を受ける前に、自分で相場を調べる方法がありますので、紹介します。
正確な査定額は不動産会社でないとわかりませんので、あくまで概算になります。
自分で調べるなんて面倒!という方は、読み飛ばしてOK。
土地の売却相場を調べる8つの方法
- 不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)
- 国土交通省の「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」
- レインズ・マーケット・インフォメーション
- 地価公示を参考にする方法
- 路線価を参考にする方法
- 固定資産税評価額を参考にする方法
- 都道府県地価調査(基準地)を参考にする方法
- 不動産査定アプリ
まずはそれぞれの特徴と筆者のオススメ度を一覧表にしました。
方法 | 調べる方法 | 長所 | 短所 | オススメの人・ 調べやすい土地 | 調べやすさ |
---|---|---|---|---|---|
1 | 不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど) | 検索しやすい | ・似ている売り物件がないと参考にならない ・売り希望価格なので高めの可能性あり |
土地の取引が多いエリア(都心や人気住宅街) | |
2 | 国土交通省「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」 | ・成約価格なので安心 ・一覧表で表示されるので比較しやすい |
・似ている取引がないと参考にならない | 土地の取引が多いエリア(都心や人気住宅街) | |
3 | レインズ・マーケット・インフォメーション | 成約価格なので安心 | 土地と建物価格の内訳がないので、土地の価格がわかりにくい | 戸建住宅地 | |
4 | 地価公示を参考にする方法 | 国土交通省等が発表している適正な地価なので安心 | 地価公示の発表地点が近くにないと参考にしにくい | 運良く、地価公示の地点が近くにあればオススメ | |
5 | 路線価を参考にする方法 | ・ほとんどの道路に路線価が決められている ・不動産会社も査定の参考にする方法 |
路線価が設定されていない場所もある | 多くの人にオススメ | |
6 | 固定資産税評価額を参考にする方法 | 固定資産税通知書さえあれば、すぐわかる | 固定資産税通知書がなければ市役所等で調べる必要がある | 固定資産税通知書が手元にある人 | |
7 | 都道府県地価調査(基準地価)を参考にする方法 | 国土交通省等が発表している適正な地価なので安心 | ・似ている取引がないと参考にならない | 土地の取引が多いエリア(都心や人気住宅街) | |
8 | 不動産査定アプリ | 検索しやすい | ・似ている売り物件がないと参考にならない ・売り希望価格なので高めの可能性あり |
土地の取引が多いエリア(都心や人気住宅街) |
それぞれ具体的な見方を紹介していきます。
分かりにくいところは写真を付けておりますので、安心してください。
相場を調べる土地情報
- 住所:東京都江戸川区中央1丁目4-1
- 最寄り駅:総武本線「新小岩駅」
方法1.不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)
まず一番メジャーな方法は、SUUMOやHOME’Sなどの不動産情報サイトで、あなたの土地と似た物件の値段を調べることですね。
ただし、売り物件の情報は、「売り希望価格」なので、実際にその水準で成約するとは限りませんから、注意が必要です。
SUUMOはコチラ → https://suumo.jp/
HOME’Sはコチラ → https://www.homes.co.jp/
サイトの使い方・見方
SUUMOでもHOME’Sでも、最初は同じです。
(1)「建てる」カテゴリーの「土地」をクリックします。
ここでは、SUUMOで検索してみましょう。
(2)「エリアから探す」または「沿線・駅から探す」どちらか選びます。
今回は、駅から探してみましょう。
「沿線・駅から探す」の「東京都」をクリックします。
「JR総武線」にチェックして、画面中段の「チェックした沿線の駅を絞り込む」をクリックします。
「新小岩」にチェックして、「この条件で検索する」をクリックします。
これで、検索結果が表示されました。
立地や面積が似ている売り物件を探してみましょう。
方法2.国土交通省「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」
取引当事者のアンケートをもとに、実際の成約価格が検索できるサイトです。
個人情報なので番地までは載っていませんが、参考になりますね。
不動産取引価格情報検索はコチラ → http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
サイトの使い方・見方
(1)「時期を選ぶ」の「画面上で検索する場合」のリストの、「平成●年第●四半期(過去2年間を含む)」を選択します。
「種類を選ぶ」の「土地」を選択します。
「地域を選ぶ」の「路線・駅名から探す」を選択。
リストから「関東地方」「JR総武線」「新小岩」を選び、「この条件で検索」をクリックします。
これで、過去2年分の検索結果が表示されました。
(2)今回は検索結果が多すぎたので、所在地の▽のボタンを押す。
「江戸川区 中央」の「中央」文字をクリックして、江戸川区中央だけに絞り込みました。
江戸川区役所は大通りに面しているので、前面道路の幅員が広い順に並べ替え(▽ボタンを押す)てみます。
前面道路が10m以上の土地を見てみると、21~42万円です。
今回の例は商業地なので、価格に幅があって、ちょっと参考にしにくいですね。
方法3.レインズ・マーケット・インフォメーション
国土交通大臣指定の「不動産流通機構」が運営・管理しているサイトです。
こちらも、実際の成約価格が検索できます。
絞り込み検索が使いやすいので、あなたの土地の近くの物件を探してみてくださいね。
レインズ・マーケット・インフォメーションはコチラ → http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do
サイトの使い方・見方
戸建住宅地の場合にオススメの方法なので、場所を変えて、ディズニーランドで有名な舞浜駅周辺を調べてみましょう。
(1)トップページにマンションと戸建がありますが、「戸建」のほうで「千葉県」「西部南エリア」を選び、「検索する」をクリックします。注意書きが表示されるので、OKします。
(2)検索結果がたくさん表示されるので、「追加検索条件」で地域詳細「浦安市」、築年数「20年超」を選んで、「検索する」をクリックします。
検索結果が画面下部に表示されました。
ポイントは、築年数「20年超」を選ぶことです。
検索結果は総額の表示になっていて、土地価格と建物価格の内訳が載っていませんが、築年数が「20年超」であれば、建物価格はかなり安いはずだからです。
舞浜駅周辺の中古一戸建て相場は、土地面積160~180㎡で、4,500~5,500万円くらいだとわかりました。
建物価格を考慮すると、土地価格は4,000~5,000万円くらいだと目星がつきます。
平米当たり単価は、25~28万円くらいです。
方法4.地価公示を参考にする方法
地価公示は、適正な土地取引の目安とするために、国土交通省が発表しているものです。
適正価格の参考にはなりますが、地価公示と同じくらいの水準で取引するのは「義務」ではありません。
あなたの土地の近くの地価公示の発表地点は、こちらのサイトで検索できます。
地価公示はコチラ → http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/
地価公示は全国で2万ヶ所以上ありますが、すぐ近くに地価公示の発表地点がない場合もあります。
サイトの使い方・見方
地価公示は、方法5と同じ「全国地価マップ」でも調べられますが、「全国地価マップ」は最新情報に更新されるまでタイムラグがあります。
「全国地価マップ」での地価公示の調べ方は、方法5で合わせてご紹介します。
まずは、「地価公示・地価調査検索システム」で最新の情報を調べる方法をご紹介します。
(1)「検索地域指定(地名入力)」をクリック
「東京都」「江戸川区」「中央」と入力して、「決定」をクリックします。
(2)検索条件指定画面になります。
「地価公示・都道府県地価調査の両方」にチェック、「最新調査年のみ」にチェックして、その他は特に変更せず「検索」をクリック。
地価調査は1/1時点、地価公示は7/1時点の価格で、適正な地価の参考になるのはどちらも同じです。
(3)江戸川区中央の地価公示・地価調査が表示されるので、一番近そうな地点を探します。
ちなみに、地名のあとの数字の意味は、次のとおりです。
※出典:国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」より
江戸川区中央一丁目の「江戸川5-5」の「地図で確認する」をクリックすると、江戸川区役所のすぐ近くで、同じ大通り沿いです。
ちなみに、すぐ近くでも、大通り沿いと裏通り沿いでは相場が違いますので、注意してくださいね。
地価調査「江戸川5-5」は366,000円なので、江戸川区役所の相場も同じくらいだとわかりました。
方法5.路線価を参考にする方法
路線価は、税金の算定の基礎となるもので、その土地が面する道路に設定されています。
かなり広い範囲がカバーされているので、参考にしやすいメリットがあります。
全国地価マップで「固定資産税路線価」か「相続税路線価」を調べて見ましょう。
路線価はどちらも平米単価です。相続税路線価は千円単位で表示されますので、100と書いてあったら、100千円という意味です。
路線価はコチラ → http://www.chikamap.jp/chikamap/
実勢価格の目安は、これくらいです。
実勢価格=固定資産税路線価÷0.7
実勢価格=相続税路線価÷0.8
ただし、土地の形状や、面積によっても変わってきますので、おおまかな目安と考えてください。
検索しても路線価が表示されない場合は、路線価が決められていないエリアですので、別の方法で相場を調べましょう。
サイトの使い方・見方
不動産会社が土地を査定するときにも、相続税路線価は必ず参考にするので、かなりメジャーな方法です。
(1)最新の相続税路線価は国税庁のホームページで調べることができます。
東京都→「路線価図」→「江戸川区」とクリックして、該当の地名のページを探します。
「中央1」の右側の数字をクリックすると、このように表示されます。
該当する場所を探し当てるのは、けっこう大変です。
実は、筆者はこの作業がキライです・・・
(2)そこで次に、住所で探しやすい「全国地価マップ」を利用して調べる方法を詳しくご紹介します。
「相続税路線価等」の「地図検索」をクリックします。
注意書きが表示されるので、「同意する」をクリック。
「住所一覧から探す」の「東京都」→江戸川区→中央1丁目→4→1
これで江戸川区役所周辺の地図が表示されました。
江戸川区役所は、3本の道路に囲まれていて、それぞれ290c、245c、220cとあります。
数字の後についているアルファベットは「借地権割合」なので無視してOKです。
相続税路線価は千円単位で表示されます。
ざっくりした相場を知りたい場合は、一番路線価が高い道路を見ればいいので、290千円ですね。
相場=相続税路線価÷0.8=290,000÷0.8=362,000円くらい
画面の上の方、「相続(平29)」が濃いピンクになっているので、今、表示されているのはH29の相続税路線価ですね。
(2)相続税路線価が表示されないときには、相続税路線価が決められていないエリアです。
郊外では、相続税路線価が決められていなくても、固定資産税路線価が決められていることがあります。
この地図のまま、固定資産税路線価に切り替えてみましょう。
水色の「固定(平29)」をクリックすると、固定資産税路線価が表示されます。
一番高い道路は、232,000円なので、
相場=固定資産税路線価÷0.7=232,000÷0.7=331,000円くらい
(3)この画面で地価公示等を調べたいときは、緑色の「公示等(平29)」をクリックします。
黒い四角形が地価公示、赤い三角形が地価調査の地点です。説明のための少し縮小します。
地価公示は1/1時点、地価調査は7/1時点の価格で、適正な地価の参考になるのは同じです。
江戸川区役所のすぐ近くに、赤い三角形が表示されたので、クリックすると、左側に詳細情報が表示されます。
地価調査の地点「江戸川5-5」の価格は366,000円で、区役所と同じ大通り沿いなので、江戸川区役所の相場も366,000円くらいとわかりました。
なお、全国地価マップは最新情報に更新されるまでタイムラグがありますが、ざっくりとした相場を調べたいだけなら、前年度の情報でも十分ですね。
最新価格を知りたいときは、方法4の「地価公示・地価調査検索システム」で調べましょう。
方法6.固定資産税評価額を参考にする方法
所有者には、毎年、「固定資産税通知書」が送られてきます。
ここには、土地の「固定資産税評価額」が記載されています。
見つからないときは、市役所等の固定資産税係で「固定資産課税台帳」を閲覧するか、「評価証明書」を取得しましょう。
所有者でないと見られない情報なので、本人確認書類をお忘れなく。
「固定資産税評価額」は税金の計算をする上での評価額なので、実際の相場とは違いますし、この価格で取引する義務もありません。
実勢価格を知るための参考情報と考えてください。
立地 | 実勢価格の目安 |
---|---|
都心や人気住宅地 | 「固定資産税評価額」÷0.7より高め |
交通の便の悪い場所、過疎化している場所など | 「固定資産税評価額」÷0.7より安め |
実際の見方
毎年市町村から送られてくる、固定資産税通知書の中の「課税明細」をみてください。
「価格」または「評価額」の欄の金額が、市町村が固定資産税を課税するための基礎として決めている評価額です。
以下は東京都の書式の例です。
※出典:東京都主税局「土地や家屋をお持ちの方へ(平成30年度 固定資産税・都市計画税)」より
「課税標準額」ではないので、気を付けてくださいね。
「課税標準額」は、「評価額」からさらに、住宅の敷地であるかどうかなどを考慮して調整し、税金を算出するための金額です。
「固定資産税評価額」は、固定資産税路線価を基礎として、土地の奥行や間口なども考慮して決められています。
例えば、土地の評価額が4,500万円の場合、
4,500万円÷0.7=6,428万円が土地の相場の目安です。
方法7.都道府県地価調査(基準地価)を参考にする方法
都道府県地価調査(基準地)とは、都道府県が毎年示す7月1日時点の価格です。
地価公示は全国で約21,000ポイントあり、地価公示を補足する形でポイントが設定されています。
都道府県地価調査(基準地)は、地価公示価格と価格水準が同じです。
周辺に基準地がある場合には、地価公示と同様に時価を推測することができます。
方法8.不動産査定アプリ
土地相場は不動産査定アプリで調べることも可能です。
土地相場を調べられる不動産査定アプリには「らくらく不動産査定」というものがあります。
らくらく不動産査定とは、リビン・テクノロジーズ株式会社が提供している不動産査定アプリのこと
リビン・テクノロジーズ株式会社とは、リビンマッチという不動産一括査定サイトの運営会社になります。
らくらく不動産査定は簡単な操作だけで土地価格を調べることが可能です。
ただし、らくらく不動産査定は、基本的にはリビンマッチへの不動産一括査定の申込ができるアプリとなっており、捜査を間違ってしまうとリビンマッチへの不動産一括査定申込画面に映ってしまいます。
相場確認機能はアプリ画面の下部ですので、相場だけを確認したい人は、良く画面機能を注意しながら利用するようにしてください。
不動産査定アプリについては、以下の記事で詳しく解説しています。
土地価格を決める8つの要因
土地価格を決める8つの要因は以下の通りです。
土地価格を決める8つの要因
要因1.大規模開発
周辺で大規模な再開発が行われると、土地価格が上昇し、新駅ができるケースでも、土地価格が上昇します。
最近では、都内でも「高輪ゲートウェイ駅」や「虎ノ門ヒルズ駅」等の新駅が登場しています。
新駅の影響は非常に大きく、開業前から土地価格は上昇します。
要因2.立地
立地は最も土地価格に影響する要因です。
立地は、都市や駅の特性で大きく定まり、さらに駅からの距離や周辺の生活利便施設の有無等の条件によって決まります。
立地の良さは価格だけではなく、売却のしやすさにも大きく影響します。
要因3.形状
形状も土地価格に影響します。
形状が悪い土地は、無駄なスペースが生じ、利用効率が劣るため、土地価格が下がります。
ただし、広い土地は形状の悪さがあまり影響しないことから、形状は狭い土地ほど土地価格に影響します。
一般的な住宅の土地の場合、道路に対して間口の広い長方形の土地が最も良い土地です。
同じ長方形でも、間口が狭く、奥行きが深い土地は使いにくいので、やや価値は劣ります。
正方形よりも、間口が広い長方形の方が良い土地です。
要因4.前面道路と幅員
建物を建てるには、前面道路の幅員が基本的に4m以上必要なので、前面道路が狭い土地は価値が落ちます。
住宅地の場合、前面道路の幅員は6~8m程度が標準的です。
マンションやオフィスビルが建築できる広い土地の場合、前面道路は12m以上の道路が望まれます。
要因5.方角
方角は、住宅地の場合、若干、価格に影響します。
方角は、道路に対して価値の高い順から南、東、西、北の順番になります。
数十の区画を一気に販売するような分譲地では、各区画の土地価格に差をつけるために、方位で結構差が付くことがあります。
しかしながら、個人の売主が1区画だけポツンと売りに出す場合は、方角は大きくは影響しません。
南であれば、やや売りやすい程度となります。
要因6.用途地域
用途地域とは、建物の建築可能な用途を一定のエリアで定めた規制のこと。主に都市部の土地に定められている。
用途地域は、住居系、商業系、工業系に分かれており、全部で13種類あります。
商業系の用途地域は、例えば東京駅の前の地域が該当しますが、高層のオフィスビル等が建築できるため土地価格が非常に高くなります。
住居系の用途地域の場合、例えば第一種低層住居専用地域という地域があります。
第一種低層住居専用地域では、基本的に2階建てのような低層の住宅しか建てられえず、タワーマンションのような建物は建てられません。
建築の規制が厳しい第一種低層住居専用地域のようなエリアは、土地の利用範囲が狭められるため、土地価格が低くなっています。
要因7.建ぺい率
建ぺい率とは、建築面積の敷地面積に対する割合のこと
建築面積とは、建物を上から見た場合の面積のこと
建ぺい率が大きいと、広い建物を建てることができるため、土地価格が高くなります。
角地は建ぺい率が大きくなるというルールがあるため、角地の土地は価値が高いです。
要因8.容積率
容積率とは、延床面積の敷地面積に対する割合のこと
容積率が高いほど、高層の建築物を建てることができ、土地価格が上がります。
建ぺい率や容積率は用途地域ごとによって行政が指定しており、用途地域と連動している数値になります。
ここまで土地価格を決める要因について見てきましたが、次に土地売却の注意点についてお伝えします。
土地売却の2つの注意点と高く売るコツ
不動産といえば、一軒家やマンションなどありますが、土地特有の注意点があります。
それが下記2つ。
- 境界確定
- 契約不適合責任
それぞれ順に説明していきます。
注意点1.境界確定に注意
土地を売却するときには、売主は買主に対して、土地の範囲を特定し、隣地との境界を明確にする必要があります。
最近分譲された、区画整然とした住宅地などでは、測量済みで、隣地との境目に境界標が埋め込まれているのも確認できるケースがほとんどです。
でも、親の代から相続した土地などでは、境界標がなく、どこまでが自分の土地なのか明確にわからないケースは珍しくありません。
境界が確定していない土地は、買主にとってリスクがあります。
すでに境界に関する紛争が起こっていても、買主は登記簿などで確認することはできません。
ブロック塀などを隣地との境界として、今まで特に問題なく暮らしているケースでも、境界に関する紛争がいつ起きるかわからないリスクがあります。
ですから、土地を高くスムーズに売るためには、売却までにできるだけ境界を確定させておくことが大切です。
また、売却後に売主が境界に関する紛争に巻き込まれる可能性を避けるためにも、境界確定は重要です。
境界の種類と確認方法
境界が確定しているかどうか調べるため、「測量図」や「筆界確認書」などの書類を探しておきましょう。
境界には、民々境と官民境があります。
- 民々境(ミンミンザカイ):自分の土地と、隣の私有地との境
- 官民境(カンミンザカイ):自分の土地と、道路等の公有地の境
「確定測量図」があれば、民々境と官民境、すべての境界が確定していることがわかります。
「現況測量図」は、民々境だけを確定して作成したものと、境界確認を一切行わずに作成されたものがありますので、注意してください。
「筆界確認書」があれば、民々境については確定していることがわかります。
次に、官民境については、その道路を管理する役所で調べることができます。
例えば市道に面しているなら、市役所の道路を管理する担当部署で、「境界査定書」などの書類があるかどうか確認してみましょう。
「境界査定書」があれば、官民境は確定しています。
売買前の境界確定の流れ
「確定測量図」があれば、民々境と官民境すべての境界が確定しているので、安心して売却活動に進めます。
「確定測量図」がなければ、不動産会社と相談しながら、測量の準備を進めましょう。
土地家屋調査士に依頼し、隣地所有者に立ち会ってもらって境界を確定した上で、測量を行います。
公道との境界についても、官民境界査定をしておくと理想的ですが、官民境界査定は時間や費用がかかるので、民々境の立ち合いだけで売買することも多く行われています。
なお、境界を確定して測量を行わなければ、絶対に土地が売れないわけではありません。
買主が了解すれば、測量を行わず、登記記録面積での売買(公簿売買)も可能です。
例えば、測量費用が高くなってしまう山林や農地などの場合には、公簿売買が一般的です。
土地を高く売るためには、基本的には境界は確定しておいたほうが有利ですが、不動産会社と相談して進めてくださいね。
境界についてはこちらの記事もご覧ください。
注意点2.契約不適合責任に注意
契約不適合責任とは、「契約の内容に適合しない場合の売主の責任」の略です。
2020年4月の民法改正により、売主責任は瑕疵(かし)担保責任から契約不適合責任に変わりました。
契約不適合責任とは、非常に単純な責任で、契約書の内容と異なるものを売ったときに売主が負うという責任のこと
以前の瑕疵担保責任は、理解するのがかなり難しい責任でしたが、契約不適合責任は契約書に書いてあるかどうかだけが問題になるので、かなりシンプルな責任になりました。
契約書に「白」と書いてあるのに「黒」を売ってはいけないということです。
「白」が買いたかったのに「黒」を売られたのだから、「売主さん責任とって下さい!」というのが契約不適合責任になります。
個人が売主の場合は、買主から追及される契約不適合責任は「追完請求(直せという請求)」「契約解除」「損害賠償請求」の3つです。
法律上は代金減額請求というものも規定されていますが、多くの売買契約書では、個人売主の場合は、代金減額請求は削除されています。
契約不適合責任は、買主が了解すれば免責することができますので、事実を売買契約書に記載し、免責の容認をしてもらうことがポイントです。
土地の売却で契約不適合責任が問われる可能性がある部分は、主に以下の4つです。
- 境界、越境物
- 埋蔵文化財包蔵地
- 土壌汚染
- 地中障害物
「境界、越境物」に関しては、確定測量図を作り、越境の覚書まで用意しておけば問題ありません。
越境の覚書とは、越境物について、隣地との間で「所有権」や「是正方法」等を確認した書面のこと
埋蔵文化財包蔵地については、不動産会社が調査します。
埋蔵文化財包蔵地とは、「この辺に遺跡があるかもしれない」と役所が認識しているエリアのこと
周知の埋蔵文化財包蔵地に指定されている場合には、売買契約書にその事実を記載し、買主に契約不適合責任を免責することを容認してもらうことが必要です。
土壌汚染に関しては、過去の土地利用履歴から疑わしいことが判明している場合には、売買契約書にその端緒を明記し、買主に契約不適合責任を免責することを容認してもらうことが必要となります。
最後に一番問題となるのが、「地中障害物」です。
地中障害物とは、地中に埋まっているコンクリートガラや浄化槽等のこと
地中障害物については、売主しか把握しておらず、不動産会社が役所で調査することができません。
売主自身が告知しないと誰も分からない部分になります。
契約不適合責任は、売主が知りながら告知しなかったものについては、売買契約書に記載しても免責することができないルールになっています。
地中障害物が埋まっている場合には、事前に撤去するか、または買主に正直に伝えた上で、容認事項として契約書に記載するようにしてください。
これまで土地売却時の注意点についてお伝えしましたが、次に土地売却のコツについてお伝えします。
コツ1:隣地へ売却の打診をするのがセオリー
土地を売却するときには、まず隣地に「買いませんか?」と打診をしてみましょう。
もちろん、土地の形状や地域性によっても違いますが、隣地を買うと土地の価値が上がる場合があるので、特にそのような場合には、隣地に高く売れる可能性があります。
例えば、隣地に高く売れる可能性があるのは、
- 隣地が不整形な土地(間口が狭いなど)で、自分の土地を買えば整形地(ほぼ長方形)になる場合
- 自分の土地が角地の場合
- 隣地の面積が狭すぎて、土地を有効活用できていない場合
また、相場より高く売れなくても、隣地に短期間で売ることができれば、それだけでも隣地に売却の打診をするメリットは十分あります。
コツ2:信頼できる不動産会社を探す
なかなか素人では見極めるのが難しい「信頼できる不動産会社」。
では、どのように探せばいいのでしょうか?それは冒頭でもお伝えしたとおり不動産一括査定を使うこと。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
不動産一括査定のオススメは「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」
不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。
その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。
上記を見ると超大手だけに依頼ができる「すまいValue」だけで良いように思えます。
ただし、不動産売却を成功させるなら大手だけではダメ。不動産会社には得意・不得意があるためです。
だから下記のように複数の不動産一括査定サイトを併用して大手・中堅・中小にも依頼できるようにするのが成功の秘訣です。
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。
どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。
不動産一括査定サイト名 | 机上査定が対応 | メール要望 |
---|---|---|
すまいValue | ○ | ○ |
SUUMO | ○ | ○ |
HOME4U | ○ | ○ |
イエウール | × | × |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | × | ○ |
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
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まとめ
それではおさらいです。
土地をスムーズに高く売るためには、良い不動産会社を見つけて、売却を依頼する(=媒介契約を結ぶ)ステップが最も重要です。
土地売却では、境界確定や契約不適合責任などの注意点があるので、信頼できる不動産会社に相談しながら手続きを進めて、トラブルを避けましょう。
土地売却をスムーズに進めるためのコツを押さえ、大切な土地を最高価格で売却してくださいね。