マンション売却の取得費に必要な減価償却はどうやって計算するの?

マンション売却の取得費で必要な減価償却と計算方法

マンションの売却後、確定申告を行う方は減価償却計算をする必要があります。

減価償却という言葉自体、初めて聞く方もいらっしゃると思います。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 減価償却とは何なのか
  • 減価償却の計算方法を知りたい
  • 課税譲渡所得の計算方法を知りたい

今回の記事ではマンション売却における「減価償却」にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことで、あなたはマンション売却における減価償却方法を理解し、最終的には課税譲渡所得も計算できるようになります。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.減価償却とは購入価額を減少させていく手続き

最初に減価償却について解説します。

減価償却とは、マンションの購入価額を法定耐用年数の期間の中で、あらかじめ定められた一定の法則に基づいてマンションの購入価額を減少させていく手続き

マンションは土地と建物から構成されますが、土地については減価償却は行われません。

会計上、土地は時間とともに価値は減らない前提となっているため。

一方で、建物は会計上、時間とともにその価値が目減りする前提になっています。

その目減りを具体的に表現したのが減価償却になります。

ここで価値とはあくまでも会計上の概念的な価値であり、実際の市場価値ではありません。

例えばマンション価格が購入時よりも値上りしたときは、市場価値が購入時よりも高くなっています。

ただし、市場価格は値上がりしていた場合でも会計上のマンションの価値は時間とともに下がることを前提としているため、減価償却は行われるのです。

以上、ここまで減価償却とは何かについて見てきました。

それでは次に減価償却の計算方法委について見ていきます。

2.減価償却の計算方法

マンションの購入価額から控除する減価償却費は、以下の式で計算されます。

減価償却費 = 建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

ポイントはマンション購入総額ではなく、「建物購入代金」のみに0.9を乗じる点です。

マンションの建物の躯体は、通常、鉄筋コンクリート造(RC造)で作られています。

鉄筋コンクリート造の耐用年数と償却率は以下のようになります。

用途耐用年数償却率
非事業用 (マイホーム、セカンドハウス)70年0.015
事業用 (賃貸マンション)47年0.22

減価償却費の計算事例

以下の条件のマンション(マイホーム)の場合、減価償却後の建物価格は以下のようになります。

建物購入価格2,000万円
経過年数10年
  • 減価償却費 = 2,000万円 × 0.9 × 0.015 × 10年 = 270万円
  • 減価償却後の建物の価格 = 2,000万円 - 270万円 = 1,730万円

建物購入代金が分からない場合は消費税から逆算する

建物購入代金が分からない場合は、消費税から逆算する方法があります。

土地には消費税は発生しませんので、消費税を購入当時の税率で割り戻したものが建物購入代金となります。

各年の消費税率は以下の通りです。

購入年月消費税率
平成元年4月1日~平成9年3月31日まで3%
平成元年9月1日~平成26年3月31日まで5%
平成元年26月1日~8%
令和元年10月1日~10%

例えば、平成10年に購入したマンションで「購入代金4,000万円(うち消費税100万円)」と書かれていた場合、建物購入代金と土地購入代金は以下のように計算されます。

  • 建物購入代金 = 100万円 ÷ 5%(0.05) = 2,000万円
  • 土地購入代金 = 4,000万円 - (2,000万円 + 100万円※) = 1,900万円

※内税のため、建物価格と消費税を除いた価格が土地購入代金となる。

以上、ここまで減価償却の計算方法について見てきました。

それでは次になぜ減価償却の計算が必要となるのがについて見ていきます。

3.取得費に「減価償却」は使われる

マンションのようなマイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡損失が発生していれば確定申告を行うことで源泉徴収税額の還付を受けることができます。

譲渡損失を計算するためには、まず課税譲渡所得を計算する必要があります。

課税譲渡所得は以下の式になります。

課税譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(掛かった経費)

譲渡費用とはマンションを売却した際の仲介手数料や売買契約書に貼付けした印紙税等が含まれます。

取得費を求めるために「減価償却」を用いる

ここで問題となるのが取得費。

取得費は単純にマンションの購入代金ではありません。

建物は減価償却後の価格になります。

マンション購入価格が土地建物合計で4,000万円の場合、減価償却費が270万円だとすると、取得費は3,730万円(=4,000万円-270万円)となります。

課税譲渡所得の計算例

以下の条件の場合、課税譲渡所得は次のように計算されます。

譲渡価額2,500万円
マンション購入価額4,000万円
減価償却費270万円
譲渡費用81万円

課税譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 譲渡価額 - (購入価額 - 減価償却費) - 譲渡費用 = 2,500万円 - (4,000万円 - 270万円) - 81万円 = ▲1,311万円 < 0円 (マイナス)

このようにマイホームであるマンションを売却して譲渡損失が出た場合は、

  • 買換え:マイホームの買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 単純売却:マイホームに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

を受けることができます。

譲渡損失による特例については下記記事でさらに詳しく解説しています。

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

個人がマイホームを売却や買換えした時によく使われる特例は下記5つがあります。 譲渡益 譲渡の種類 特例 譲渡益が生じる場 ...

続きを見る

不動産で売却損があった場合に使える「損益通算及び繰越控除の特例」を解説
不動産で売却損があった場合に使える「損益通算及び繰越控除の特例」を解説

個人がマイホーム(居住用財産)を売却した場合、買った時よりも値段が上がっているケースはほとんどありません。 特に新築で購 ...

続きを見る

以上、ここまで課税譲渡所得の計算方法について見てきました。

それでは次にその他取得費に含むことができるものについて見ていきます。

4.マンション売却時の取得費一覧

再度、マンション売却時の譲渡所得の計算式を見てみましょう。

課税譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(掛かった経費)

取得費については、減価償却で計算したマンションの購入額を入れることは説明した通り。

さらに取得費は下記のような費用を含めることができます。

  • 購入の際の仲介手数料
  • 購入時の売買契約書に貼付けした印紙税
  • 購入時の登録免許税
  • 購入時の不動産取得税
  • 購入時の司法書士への報酬

この中で特に購入の際の仲介手数料は金額が大きいためインパクトがあります。

当時の領収書等がないかどうが、確認してみましょう。

ここまで、その他取得費に含むことが出来るものについて見てきました。

それでは次に取得費がそもそも分からない場合の対処方法について見ていきます。

5.取得費が分からない場合は概算取得費を使う

マンションを購入した時期が古く、購入当時の契約書を紛失してしまった場合は「概算取得費」というものを用います。

概算取得費は、売却したマンションの譲渡価格の5%です。

概算取得費を用いると、課税譲渡所得は以下のようなケースの場合、次のように計算されます。

譲渡価額2,500万円
マンション購入価額不明
譲渡費用81万円

課税譲渡所得 = 譲渡価額 - 概算取得費 - 譲渡費用 = 2,500万円 - 2,500万円×5% - 81万円 = 2,500万円 - 125万円 - 81万円 = 2,294万円 > 0円(プラス)

概算取得費を用いた場合は、減価償却は行いません。

取得価格が概算取得費となると、譲渡価格の5%となってしまうため、本来は譲渡損失が出ていたとしても課税譲渡所得がプラスとなり、この場合、所得税が発生してしまいます。

取得費については下記記事でさらに詳しく解説しています。

不動産売却の取得費とは?一覧・計算方法と不明な場合の対処法
不動産売却の取得費とは?一覧・計算方法と不明な場合の対処法

個人の方が不動産を売却すると、譲渡益に対して所得税が発生します。 課税対象は譲渡額ではなく譲渡益。譲渡益はつまり利益のこ ...

続きを見る

3,000万円の特別控除を受けることができる

マンションのような居住用財産の売却の場合、要件を満たせは3,000万円の特別控除を受けることができます。

3,000万円の特別控除を適用すると、上述の課税譲渡所得は以下のようになります。

課税譲渡所得 = 譲渡価額 - 概算取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円 = 2,294万円 - 3,000万円 = ▲706万円 < 0円 (マイナス)

この例の場合、3,000万円の特別控除を適用すると、課税譲渡所得がマイナスとなるため、所得税は発生しないことになります。

3,000万円の特別控除については、下記記事で詳しく解説しています。

3,000万円特別控除とは?不動産を売却しても税金を払わなくてもいい理由
3,000万円特別控除とは?他の特例との併用は可能?適用要件と必要書類

個人の方が不動産を売却しやすくするため、国は様々な税政策を実施しています。 個人がマイホームを売却や買換えした時によく使 ...

続きを見る

ただし、3,000万円の特別控除を適用してマイナスとなった場合には、前述した

  • マイホームの買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • マイホームに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

の適用を受けることができません。

6.まとめ

マンション売却において確定申告で行う減価償却について解説してきました。

マンション売却では、源泉徴収税額の還付を受けられることが多いです。

減価償却を計算して、売却後に確定申告を行いましょう。

マンションを売却した時の税金については下記記事でさらに詳しく解説しています。

不動産を売却したときにかかる税金は?計算方法とお得な税金特例
不動産を売却したときにかかる税金は?計算方法とお得な税金特例

不動産を売却した時、あなたには多額のお金が手に入ります。 お金が手に入れば、残念ながら「税金」というものが掛ります。 不 ...

続きを見る

確定申告については下記記事でさらに詳しく解説しています。

不動産売却の確定申告の必要性と流れ4ステップ・必要書類一覧
不動産売却の確定申告の必要性と流れ4ステップ・必要書類一覧

不動産を売却した際、確定申告が必要となるケースがあります。 サラリーマンの場合、確定申告を行うことは滅多に無いため、確定 ...

続きを見る

おすすめ記事一覧

52,627view
不動産一括査定

不動産一括査定サイトのオススメを先に見たい人はコチラ マンションや一戸建て、土地などの「不動産を売りたい」と考え始めたと ...

61,288view
マンション売却で3人に1人が失敗している?2つの落とし穴と間違いない成功のコツ

一生涯でマンションを売却する機会は、ほとんどありません。 何から始めたらいいのか分からず、インターネットでいろいろ調べて ...

10,345view
一戸建て売却は苦戦しやすい?トラブルなく高額査定してもらう4つのコツ

一戸建て(一軒家)を売却するには、正しい手順があります。 でも、一戸建ての売却をする機会は、人生でそう何度もありませんか ...

2,263view
土地売却は注意点が多い!スムーズに売却するための完全ガイド

更地は不動産の中でも最も売却しやすい物件です。 ただし、更地は不動産会社等のプロが購入者となる場合も多く、売主に対して厳 ...

-不動産売却, 税金

Copyright© 不動産売却の教科書 , 2020 All Rights Reserved.