個人の地主には、遊休地を持っている人がいます。
目立ったところに遊休地を持っていると、ハウスメーカーや銀行等から様々な飛び込み営業もあり、煩わしくなることもあります。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 遊休地のことを少しは気になるが、どう活用して良いか分からない
- 遊休地を活用する良い手立てはないか知りたい
- 遊休地を活用すべきか、売るべきかどうか迷っている
そこで今回の記事では土地活用の中で「遊休地」にフォーカスしてお伝えいたします。
前半部分では遊休地に活用について解説します。
後半部分では、近年浸透しつつある遊休地を売却することによる相続税対策について解説いたします。
そもそも遊休地とは何か
遊休地になってしまう理由
遊んで休んでいる土地と書いて「遊休地」。
遊休地とは実用日本語表現辞典によると、「住宅や農地や駐車場などを初めとしたどのような用途でも使われておらず有効活用されていないような土地のこと。遊休している土地のこと。」と定義されています。
つまり遊休地とは、「空地=空いている土地」です。
本格的に使っていない土地のことを指します。
広い意味で言うと、駐車場や資材置場のような暫定利用の土地も遊休地と言えます。
遊休地が「遊休」地となっているゆえんは、特に活用方法が思いつかないからという場合が多いです。
遊休地のままにしておくと、固定資産税や除草費用等のコストが発生するという警告を発する人がいます。
ところが、遊休地を持っているような人は、他にも資産がある人が多いため、遊休地の維持費用などは、大して気にならないという人が多いのも実態です。
特に、地方都市であれば、土地の固定資産税などは大きな負担感はありません。
良い活用方法が思いつかず、金をかけて活用するくらいなら、そのまま放っておいた方が良いという理由で、土地が遊休地化していることが多いです。
遊休地のメリットは売却がしやすいこと
遊休地は、何もデメリットばかりではありません。
筆者の知人に遊休地を保有している資産家の方がいますが、遊休地のままにしている理由を尋ねると、「更地にしておけば売りたいときにすぐに売れるから」という理由で遊休地にしている人もいます。
このような考え方は、非常に合理的です。
不動産は、全般的に流動性の低い資産ですが、そんな中、更地は最も売却しやすい不動産の形態です。
更地である遊休地は「すぐに売れる」不動産です。
よって、遊休地は売却しやすいというメリットがあります。
遊休地は、一見すると無駄なように思えますが、活用してしまうと、今度は売却しにくい不動産に変わります。
活用によって遊休地のメリットを失うことにもなります。
資金を投下して活用する前に、売却の選択肢もしっかりと検討すべきなのです。
ところが、遊休地を持っていると、たまに「アパート建てませんか?」とか、「売却しませんか」等の営業を受けることがあります。
地主としては放っておいて欲しいと思っている方も多いのですが、やはり外野の声も気になるものです。
やはり無駄に遊休地にしておくよりは、何か良い活用方法を考えたいところです。
そこで次に遊休地の活用方法について見ていきます。
遊休地の3つの土地活用方法
遊休地の活用方法としては、
- 暫定利用として活用する、
- 借地として活用する、
- 建物を建てて活用する
という3つの選択肢があります。
収益性としては、建物を建築し家賃収入を得るパターンが最も高くなります。
次に収益性が高いのは、事業用定期借地のような借地事業です、
収益性が最も低いのは、駐車場などの暫定利用になります。
【収益性】家賃収入 > 借地事業 > 暫定利用
そこで、次にこれらの活用方法について見ていきます。
土地活用方法1.暫定利用
駐車場のように暫定利用している土地は、そもそも広い意味で遊休地と言えます。
暫定利用では、固定資産税も賄えないようなケースも存在します。
ただし、暫定利用は初期投資が少なく、簡単に止めることもできるため売却しやすいというメリットがあります。
また固定資産税の完全な垂れ流し状態よりはマシというのもメリットです。
暫定利用の中では、時間貸し駐車場が最も収益性が高いです。
他の暫定利用としては、以下のようなものが考えられます。
- レンタカー営業所
- 住宅展示場
- トランクルーム置場
- フットサルパーク
- 屋台村
- フリーマーケットスペース
- コイン洗車場
- 資材置場
これらの利用は場所を選びますので、全ての遊休地で可能となるわけではありません。
また、実際に時間貸し駐車場以上に収益性の高い前提利用もなかなか見つからないのも実態です。
レンタカー営業所や住宅展示場あたりは、時間貸し駐車場よりも収益性が高いため、検討してみても良いと思います。
上述の暫定利用に関しては、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。
土地活用方法2.借地事業
建物投資に乗り気でない人は、事業用定期借地権による借地事業がオススメです。
借地事業は、何も投資をせずに、安定的に地代収入を得ることができます。
事業用定期借地権とは、定期借地権の中の1つの種類です。
定期借地権には
- 一般定期借地権
- 建物譲渡特約付借地権
- 事業用定期借地権
の3種類があります。
それぞれの特徴をまとめると以下の通りとなります。
種類 | 一般定期借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | 事業用定期借地権 | |
---|---|---|---|---|
存続期間 | 50年以上 | 30年以上 | 10年以上30年未満 | 30年以上50年未満 |
利用目的 | 限定なし | 限定なし | 事業用建物(居住用は不可) | |
契約書式 | 公正証書等の書面により契約 | 書面化は不要 | 必ず公正証書で契約する | |
良く使われる用途 | マンション | 倉庫 | コンビニ | ホテル |
定期借地権の中では、土地所有者には事業用定期借地権が最も人気があります。
事業期間が比較的短く、地代も高いことが理由です。
地代は建物を建てたときの家賃収入よりは低いですが、建物投資を伴わず、撤退リスクも低く、建物の修繕費も発生しない事業用定期借地事業は、地主にはとても好評です。
定期借地と普通借地については、下記に詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
事業用定期借地は、出店したい事業者がいなければ成立しません。
立地や規模等の条件の良い遊休地でないとできないというのがネックです。
借地事業ができない場合は、遊休地の活用として建物建築になります。
そこで次に建物建築について見ていきます。
土地活用方法3.建物建築
一口に遊休地と言っても様々な条件があります。
田舎の土地や、広い土地、狭い土地等によって着眼点を変える必要があります。
遊休地は何らかの活用しにくい原因があるからこそ遊休地になっている可能性があります。
そのため、ここでは活用しにくい条件ごとの土地活用対策について、関連記事をご紹介させて頂くことにします。
暫定利用?借地事業?建物建築?迷ったらプロに相談
ここまで色々な土地の利用法を紹介してきましたが、素人にはなかなか判断が難しいですよね。
アパート経営や駐車場、商業テナント、老人ホームなど用途や土地に応じて最適解が変わる土地活用ですが、それぞれ対応できる会社は異なります。
下記の表は土地活用の種類に応じた相談先をまとめたものです。
土地の活用方法 | 相談先 | |||
---|---|---|---|---|
ハウスメーカー | 工務店 | ゼネコン | 各種専門業者 | |
マンション経営 | △ | △ | 〇 | |
アパート経営 | 〇 | 〇 | ||
賃貸併用住宅 | 〇 | 〇 | ||
駐車場経営 | 〇 | |||
大規模施設(高齢者施設・保育所など) | △ | 〇 |
上記の表にある通り、土地活用の種類は多種多様です。
あなたが頭の中で描いていた土地活用がベストの活用方法とは限りません。
選択肢を狭めずにベストな方法を探るには、複数社の収益プランを比較するのが一番です。
同じ土地活用方法でも会社によって初期費用や収益プランが大きく差が出るのは土地活用では常識なのです。
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それでは後半として近年浸透しつつある遊休地を売却することによる相続税対策についてご紹介します。
遊休地は売却も視野に入れる
遊休地の売却による相続対策
最後に、遊休地の売却による相続対策についてご紹介します。
これは、従来の相続対策のセオリーとは真逆の方法ですが、最近、相続対策として浸透し始めている考え方ですので紹介します。
まず、原則的に、相続対策上は、資産は現金で持っているよりも不動産で持っている方が有利です。
例えば、Aさんが現金を1億円持っているとします。
現金は、そのまま100%相続性評価額になるため、Aさんの相続財産は1億円です。
1億円に対して相続税がかかりますので、相続税が高くなります。
ところが、Aさんがこの現金1億円で、土地を購入したとします。
土地の相続税評価額は路線価で行われます。
路線価は時価の80%の価格になります。
そのため、Aさんが時価1億円の土地を購入した場合、Aさんの資産の相続税評価額は8,000万円となります。
実際は1億円の価値のある土地を持っていても、8,000万円という相続税評価額に対して相続税が発生しますので、Aさんの相続税が安くなります。
つまり同じ時価1億円という資産を持っていたとしても、現金ではなく土地に換えた方が相続税評価額は下がるため、節税になるというカラクリです。
そのため、遊休地は本来の資産価格よりも20%ほど資産を圧縮していることになるため、遊休地をそのまま持っていることは、実は相続対策になっています。
土地による相続対策の問題点
ところが、遊休地には1つ問題があります。それは分割しにくいということです。
これは遺産分割協議で揉める原因となります。
相続時は、相続財産は相続人間の共有という形で相続が行われます。
現金であれば1円単位で分割できますが、土地は分割しにくいため、相続人間でどのように資産を分けるかで後々問題となるというのがデメリットです。
現金化による問題点の解消
そこで最近、注目されている考え方が、相続対策としての遊休地の売却です。
相続の前に遊休地を売却してしまい、分割しやすいように現金に換えておくのです。
個人が土地を売却して譲渡所得が発生すると、所得税が発生します。
売却時の課税譲渡所得は以下のようになります。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
遊休地は昔から持っている土地のケースが多いため、取得費が不明なケースが多いです。
取得費が不明な場合、概算取得費というのを用います。概算取得費は譲渡価額の5%となります。
そこで、時価1億円の取得費が不明の土地の譲渡所得を計算してみます。
単純化のため、譲渡費用はゼロとします。
すると、譲渡費用は以下のように計算されます。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 1億円 - 1億円 × 5% - ゼロ = 1億円 - 500万円 = 9,500万円
課税譲渡所得は9,500万円と計算されました。
すると、この場合、所得税等(所得税および住民税)は以下の計算式で計算されることになります。
所得税等 = 課税譲渡所得 × 税率
不動産を譲渡した場合の譲渡所得税率は、不動産の所有期間によって異なります。
所有期間は5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得とされます。それぞれの税率は以下の通りです。
譲渡所得 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 30% | 9% | 39% |
長期譲渡所得 | 15% | 5% | 20% |
昔から持っている遊休地の場合、所有期間は5年超で長期譲渡所得に該当する場合が多いです。
長期譲渡所得となると、9,500万円の課税譲渡所得に対し、税金は以下のように計算されます。
所得税等 = 課税譲渡所得 × 税率 = 9,500万円 × 20% = 1,900万円
現金化しても評価額はほぼ同じ
つまり、時価1億円の遊休地を売却すると、所得税1,900万円が発生するため、手残りは8,100万円(=1億円-1,900万円)となります。
分割しにくい1億円の遊休地を売却することによって、分割しやすい8,100万円の現金を手にすることができました。
ここで、再度、時価1億円の土地を持っている場合の相続税評価額を考えます。
土地の相続税評価額は時価の80%のため、8,000万円になります。
8,100万円の現金と8,000万円の土地ということで、実は売却して現金化しても資産評価額はほとんど変わらない結果になりました。
まとめると、売却前と売却後では以下のようになります。
売却前後 | 資産の状態 | 評価額 | 特性 |
---|---|---|---|
売却前 | 土地 | 8,000万円 | 分割しにくい |
売却後 | 現金 | 8,100万円 | 分割しやすい |
従来は、遊休地は持っている方が相続対策になると考えられていました。
ところが最近では長期譲渡所得であれば、売却しても相続税対策の効果としてはほぼ同様のため、それであれば分割しやすい現金にした方が良いという考えをする人が増えてきました。
売却するメリット
他にも現金にしておけば、暦年贈与(毎年110万円まで非課税で贈与できる制度)によって生前に資産をちょっとずつ相続人へ移転することが可能です。
相続人に現金が移転すれば、納税資金の確保にもつながります。
相続人に納税資金が貯まれば、相続税を支払うことができるため、物納せずに資産を守ることが可能になります。
実は、不要な遊休地は、思い切って売却してしまうことが相続対策に繋がります。
売却によって所得税を支払うことで、結局は土地を持っているのと同程度の資産の圧縮効果があるのです。
さらに、現金化することで分割もしやすくなり、分割対策にもなります。
また暦年贈与によって事前に資金を相続人へ移転することもできるため、納税資金対策にもすることが可能です。
加えて遊休地で負担していた固定資産税の支払いも無くなります。
遊休地の売却による相続対策は、非常にメリットが多いことから、最近では徐々に浸透しています。
比較的気の利いたコンサルタントであれば、遊休地の売却による相続対策も提案してくれます。
現金を不動産に代えることだけが相続対策ではなく、逆パターンもあるということも知っておきましょう。
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まとめ
遊休地とは?初めて遊休地の土地活用を考える人向けの完全ガイドを見てきました。
遊休地の活用はとても難しいですが、売却というのも一つの立派な活用になります。
無理矢理活用するのではなく、幅広く柔軟に考えるようにしてください。