不動産の長い売却活動期間を終えて売買契約の締結。
ホッとしてしまいますが、まだ決済(入金)が終わっておらず気が抜けません。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 売買契約を締結してから何か準備することはあるの?
- 何で1ヶ月間の時間がかかるの?
- 引渡しで注意することはあるの?
そこで当記事では、売買契約を締結してから引き渡しまでの期間をフォーカスしてお伝えします。
この記事を読めば、売買契約後の具体的な流れや準備することが明確になります。
売買契約後から引き渡しまでの流れ
不動産売却の全体の流れは以下の通り。
不動産売却では「売買契約」と「残金決済・引き渡し」を1ヶ月程度間開けるのが通常です。
決済とは売買代金の支払いのこと
不動産売却では、引渡時に代金を支払いますので、決済と引き渡しは同日です。
一方で、売買契約時は契約書面に押印することが中心であり決済は行いません。
売買契約時は、決済ではなく、売買契約が成立したことを証するために買主から手付金の支払いが行われます。
手付金は、売買代金の10%程度。
手付金は、売買代金に充当されますので、決済時は残りの90%の金額が買主から支払われることになります。
売買契約から決済・引渡しまでの詳細な流れ
「売買契約」と「残金決済・引き渡し」までの流れは以下の通り。
「売買契約から引き渡し」までの間にやることについて解説します。
やること①資料の確認
売買契約を締結したら、引き渡しに必要な資料の有無を確認します。
引き渡し時に必要な書類は以下の通りです。
必要書類 | マンション | 一戸建て | 土地 |
---|---|---|---|
身分証明書 | ○ | ○ | ○ |
実印 | ○ | ○ | ○ |
印鑑証明書 | ○ | ○ | ○ |
住民票 | ○ | ○ | ○ |
銀行口座の通帳 | ○ | ○ | ○ |
ローン残高証明書 | ○ | ○ | ○ |
登記済権利書 (権利証) 登記識別情報 |
○ | ○ | ○ |
建築確認済書 | △ | ||
検査済書 | △ | ||
建築設計図書 | △ | ||
設備に関する説明書 | △ | △ | |
物件のパンフレット | △ | △ |
表の記号の意味は、一般的に「○は必ず必要なもの」「△はあった方がいいもの」です。
それぞれの書類の詳細については下記記事で詳しく説明しています。
やること②銀行への連絡※ローン残債がある家売却の場合
売買契約が終わったら、銀行の担当者に連絡を行います。
売買契約を行うと、同時に引渡に日時も決まります。
住宅ローンが残っている物件を売るときは、引き渡し時に住宅ローンの抵当権の抹消を行う必要があります。
抵当権とは、債務者(お金を借りる人)が不動産などを自分の手元に留めたまま、債務の担保として提供し、債権者がその担保目的物から優先的に弁済を受けることができる権利
抵当権を抹消するためには、銀行が持っている抵当権抹消書類が必要となります。
よって、引渡当日は、銀行の担当者も同席しますので、銀行の担当者には引き渡しの「場所と日時」を連絡することが必須です。
ローンが残っている家売却については下記記事でさらに詳しく説明しています。
やること③住宅ローンの申込※買い替え時
買い替えで不動産を新たに購入する場合は、購入物件の新たな住宅ローンの申込を行います。
住宅ローンの本審査は、売買契約書の原本が必要ですので、購入物件の売買契約が終わった段階で実施。
本審査は、銀行にあらかじめ本審査に要期間を確認し、購入物件の引渡まで間に合うようにスケジュールを調整するようにしてください。
やること④引っ越し
引っ越しは、売買契約後から引き渡しまでの間に行います。
引っ越しでやるべきことは、以下のような手順になります。
不要な設備の撤去
引っ越しでは、不要な設備の撤去を行います。
具体的には、エアコンやウォシュレット等の撤去です。
売買契約時に付帯設備表を交付していると思われますが、付帯設備表には買主に対して引渡す設備の有無が記載されています。
特に、エアコンは残すか残さないかは重要です。
付帯設備表にエアコンを残すと書いてあった場合は、必ず残すようにしてください。
残す予定であったものを撤去してしまうとトラブルの原因となります。
また、撤去予定のものは買主取ってみると廃棄物ですので、残さずに必ず撤去するようにします。
水道光熱費の清算
引っ越しでは、今住んでいる家の水道光熱費の精算を行います。
引越日が決まったら、水道、ガス、電気、電話等、それぞれの管轄事業者に連絡を行い、閉栓手続きを行うようにしましょう。
マンションなら管理組合から脱会
マンションの売却であれば、今の管理杭愛からの脱会手続きが必要です。
売買契約が済んだら、忘れずに管理組合に連絡するようにしてください。
引越先のインフラの開栓手続き
引っ越し先が決まったら、引っ越しまでに水道、ガス、電気、電話等の開栓手続きを行います。
開栓手続きを忘れてしまうと、引っ越した当日、引越作業で汗をかいたのにお風呂に入れないといった事態に見舞われます。
インフラについては引っ越し初日から使えるように、段取り良く開栓手続きを済ませましょう。
お得な電力会社探しは、セレクトラの記事「東京電力よりお得な新電力会社」が参考になります。
引っ越しの実施
引っ越しの準備が整ったら、引っ越しの実施。
引っ越しで重要なことは、ゴミを残さないことです。
売り物件にゴミを残すことは、買主の怒りを買う行為ですので、絶対に残さないようにしてください。
トラブルになりますので、買主にゴミを捨てさせるのが絶対にNGです。
搬出後に発見された不具合の修繕
引っ越しでは、残念ながら引っ越し作業中に売り物件に傷を付けてしまうことがあります。
売買契約時点になかった傷が新たに発見された場合、売買契約の内容とは異なるものを売却していることになるので、修繕する必要があります。
売り物件には傷を付けないことが一番ですが、万が一、傷を付けてしまった場合には、引渡時まで修繕するようにしてください。
マンションなら管理組合に新たに加入
新しく購入した物件がマンションの場合、引っ越し先のマンション管理組合に新たに加入することが必要です。
新しいマンションには、駐車場や駐輪場、ゴミ出しルール等に独自のルールがあるはずですので、ルールについてしっかり確認するようにしましょう。
火災保険への加入
物件を購入したら、火災保険の加入は必須です。
住宅ローンを組む場合は、火災保険の加入が条件となります。
保険の付保は、引越日ではなく新たな物件を購入した引渡日に設定することがポイント。
引渡日から引越日までの間に火災が起きてしまうと、新たな買主が損害を負担することになりますので、必ず引渡日を基準に火災保険をかけるようにしてください。
住民票の移転
引っ越しが終わったら住民票を移転します。
住民票の移転手続きは「同一市区町村内での引越」と「他の市区町村への引越」で以下の通りです。
同一市区町村内での引越の場合
「転居届」および本人確認書類を出せば手続きは完了
他の市区町村への引越
- 引越元の市区町村で「転出届」および本人確認書類を提出し、転出証明書を受け取る。実印登録している人は印鑑登録証も必要。
- 引越先の市区町村で「転入届」および転出証明書、本人確認書類を提出する。
確定申告を行う際は、「除票住民票」が必要。
除票住民票とは、他の市町村への引越や、死亡したときに抹消された住民票
住民票を移転する際は、除票住民票も取得しておくと便利です。
やること⑤物件の立会い
引き渡しまでの間に、売主と買主で物件の立会いを行います。
物件の立会いで行うことは、主に以下の2点です。
- 境界の確認
- 設備の動作確認
戸建てや土地の売却では、売主に境界の明示義務がありますので、物件の立会い時に境界明示を行います。
マンションでは境界明示の必要はありません。
また、戸建てやマンションでは設備の動作確認を行います。
売買契約時に売主から付帯設備表を交付しますが、付帯設備表の記載内容が合致しているか確認します。
やること⑥精算額の確認
引き渡しまでに精算額の確認も必要です。
不動産の売却では、以下のような諸費用の精算を行います。
- 固定資産税および都市計画税
- 管理費及び修繕積立金(マンションの場合のみ)
精算額の計算は、不動産会社が行うのが通常です。
引き渡しの前に、あらかじめ「精算額をご確認ください」と不動産会社から連絡が来ます。
これらの精算金は、基本的に買主から受け取るお金です。
売主は、精算額が間違っていないかどうか、確認するようにしてください。
固定資産税の精算や管理費等の精算については下記記事でさらに詳しく説明しています。
やること⑦決済・引渡
決済と引き渡しは同日に行います。
引き渡しは、買主が住宅ローンを組む銀行で行うことが通常です。
引き渡しの出席者は以下の人たちになります。
- 売主
- 買主
- 不動産会社
- 売主の銀行担当者
- 買主の銀行担当者
- 司法書士
引き渡しでは買主が残金支払いを行い、入金が確認されると引渡書類と「鍵」が渡されて引き渡しの完了です。
登記手続き書類等が揃ったら、司法書士がその足で法務局に向かい、登記手続きを行います。
やること⑧確定申告
不動産の売却では、「譲渡所得が発生した場合」または「税金の特例を使う場合」は確定申告が必要です。
譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
不動産を売却したときは、譲渡所得がプラス(譲渡益)であれば税金が発生し、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)であれば税金は発生しないのがルールです。
そのため、原則として譲渡所得がマイナスの場合は、確定申告は不要です。
ただし、マイホーム(居住用財産)の売却では、譲渡所得がマイナスでも税金還付を受けることができる特例があるため、そのような特例を利用する場合には、確定申告が必要となります。
確定申告を「する」「しない」のフローチャートを示すと以下の通り。
マイホーム(居住用財産)の定義は以下の通りです。
マイホーム(居住用財産)の定義
- 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
- 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
- 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
- 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)
マイホームの売却では、譲渡益が出た場合は節税できる3つの特例があります。
また、譲渡損失が出た場合は税金還付を受けることのできる2の特例があります。
特例の名称を示すと以下の通りです。
不動産売却で使える5つの特例
譲渡益が出た時の節税の特例
- 3000万円特別控除
- 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換え特例
譲渡損失が出た時の税金還付を受けることができる特例
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
確定申告の必要の有無については、利用可能性のある特例の要件を十分に確認しながら手続きを進めるようにしてください。
確定申告の必要性や不動産売却時に使える5つの特例については下記記事でさらに詳しく説明しています。
まとめ
「不動産売却の決済から引き渡しまで」について解説してきました。
売買契約から引き渡しまでは時間が限られますが、行うことは結構多いです。
不動産会社に何をいつまでに行わなければならないのか、指示を仰ぎながら手順を進めるようにしましょう。