「不動産は大きなお金が動くし悪い業者も存在しそう」
「信頼できる良い業者を選びたい」
そんな風に感じている方も多いと思います。ほとんどの方が人生に1~2度しか不動産売却を経験しません。
ましては不動産は大きな金額が動くので、失敗したくないと思うのは当然のこと。
これから不動産を売却する人の中には「不動産売却の業者選びのコツや失敗しない選び方を知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では不動産売却の業者の選び方について、業者の特徴や失敗しない選び方、対応の悪い不動産会社と契約した場合の対処法をご紹介いたします。
不動産業者選びが不動産売却成功のカギ
まず初めに、失敗しない不動産売却のために基本的な不動産売却の流れを知っておきましょう
不動産売却の流れ
不動産売却の全体の流れは、下図の通りです。
- 価格査定から売却活動の開始の期間は0.5ヶ月
- 平均販売期間は3ヶ月
- 売買契約から引渡しまでの間の1ヶ月
ですので、不動産売却の全体スケジュールは順調に進んで4.5ヶ月程度になります。
物件によって売れやすさはありますが、売却完了しておきたい時期から逆算して準備しましょう。
長期間にわたる売却活動の最初から最後までを全面的にサポートしてくれるのは、あなたが選んだ不動産会社です。
不動産会社の力量により、販売価格や販売スピードが左右されると言っても過言ではありません。
そのため、不動産売却を成功させるためには、「良い業者を選ぶ」ことがとても重要です。
次の章では、さっそく、良い業者の判断基準、選び方について見ていきましょう。
良い業者の判断基準、選び方
昔は良い不動産会社の見分け方として、宅地建物取引業の免許番号の更新回数をチェックすべきといったような話がありましたが、筆者は否定的です。
宅建業の免許番号とは、「東京都知事(1)第○○○○○号」のような業者に固有に割り振られている番号
この内、()内の数字が免許更新数となります。
宅建免許は5年に一度の更新のため、()内の数字が大きければ大きいほど業歴が長く信用できるという、一見、分かり易い見分け方です。
この方法を全面的には否定しませんが、今時は、このような単純な見分け方はオススメしません。
理由としては、業歴の長い会社には「どうして潰れないのだろうと思う不動産会社」も多いから。
このような不動産会社は高齢者の経営者が営業している店も多く、経営も安定しているため、あまりやる気がありません。
また不動産業は廃業率の低い業種であることを考えると、更新回数の多さは他業界に比べるとむしろ価値が低い部分になります。
この手のタイプの不動産会社は売主のために一生懸命動いてくれる可能性は低いため、避けるべきでしょう。
そこで以下の2つの判断基準を設けることをオススメします。
不動産売却業者を選ぶ時の2つの判断基準
- 売却力のある業者であるか
- 営業マンが信頼でき、相性が合うか
売却力のある業者であるか
最初に仲介依頼を検討している不動産業者が、「売却力 = 不動産を売る力」があるのか確認します。
力量があるかどうかは、以下のポイントでチェックをしていきましょう。
①自分の物件を得意とする不動産会社か?
まず、初歩的な内容になりますが、不動産業者といっても、専門にしている業務の内訳は「開発」「流通」「管理」などに分かれています。
分類 | 名称 |
---|---|
不動産の開発 | ・デベロッパー
・ハウスメーカー |
不動産の流通 | ・新築住宅の販売
・不動産仲介 |
不動産の管理 | ・不動産管理 |
不動産売却は、専門性が高い業務なので売却を専門にしている業者に依頼しましょう。
基本的には、不動産売却の仲介を専門としている不動産仲介業者に依頼することとなります。
ただ、仲介業者のなかでも実は、物件のエリアや物件種別などで各社得意・不得意が存在します。
例えば、「小田急不動産は小田急沿線の不動産が強い」「ライオンズマンションで有名な大京穴吹不動産はマンション仲介が得意」というのは、知識がない方でもイメージしやすい例ではないでしょうか。
他にも、投資用物件を得意とする会社や、訳あり物件を得意とする会社など、各社様々なストロングポイントを持っています。
しかし、自分の物件を得意とする不動産会社を探しあてるのは、なかなか難しいところです。
対応としては、複数の不動産会社に話を聞いてみることで、あなたの不動産に強い会社が見つかる可能性がグッと上がります。
筆者は、複数の不動産会社に一度でコンタクトを取れる不動産一括査定サイトをオススメしています。
詳細は【4.不動産売却は不動産一括査定の活用が鉄則】で解説しているので、是非、ご確認ください。
②査定内容に信憑性があるかどうか?
不動産会社にコンタクトを取って、まず最初にお願いすることが不動産査定です。
査定をお願いすると、物件の査定価格と査定価格の根拠などをメールなり書面で受け取ることが出来ます。
一般に査定価格は、3ヶ月以内で売却可能と予想される価格です。
不動産会社から高い見積もり査定価格を提示されると喜んで契約しそうになりますが、注意が必要です。
査定価格は、あくまで各不動産会社の予想の為、不動産会社によってバラつきが出てくるのが一般的です。
契約が取りたいがために、わざと高い見積もり査定を提示してくれる不動産会社もいるということです。
査定内容に信憑性があるかどうか、見極める為には、下記のポイントを注意しながら査定書をチェックしていきましょう。
査定書のチェックポイント6つ
- 複数社の査定額を比べて、高すぎないか
- 成約事例が査定対象物件とかけ離れてないか
- 流通性比率で査定価格を操作していないか
- コメントが手抜き・テンプレになっていないか
- あまりにもページ数が少なくないか
- 見やすく分かりやすい体裁になっているか
各項目の詳細は、下記の記事で解説しておりますので、是非、ご確認ください。
③「囲い込み」をしないかどうか?
「囲い込み」の問題を説明するにあたって、まず最初に両手仲介について説明する必要があります。
両手仲介とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと
両手仲介の問題は売主の「囲い込み」にあります。
囲い込みとは、売主側の不動産会社が売主を囲い込むこと
両手仲介そのものは、それほど大きな問題ではありません。
しかしながら、最初から両手仲介ありきで、売主が囲い込みにあえば、問題はあるといえます。
具体的には、売主の売物件情報を隠し、他の不動産会社からの購入申込を一切断るような行為が囲い込みです。
仲介業者に両手仲介狙いで囲い込まれてしまうと、売り手側は不動産を高く・早く売れるチャンスを逃してしまうのです。
「囲い込み」をされないためにも、複数の不動産会社と「一般媒介契約」を結び、不動産売却を進めることをオススメします。
一般媒介契約とは、他の不動産会社に重ねて依頼することができる契約形態のこと
④提供しているサービス内容は魅力的か?
初めて不動産業者を選ぶ時に、必ずしもテレビCMをやっているような大手不動産業者を選ぶ必要はありません。
中小の不動産会社でも、大手と変わらない売却力を持っています。
その理由は、業者によって取り扱う不動産情報に圧倒的な差がないからです。
不動産業界では「REINS(レインズ)」と呼ばれる「不動産流通標準情報システム」が利用されており、不動産会社であれば同じ物件情報を見ることができます。
そこで見るべきポイントは、「不動産業者が提供しているサービス内容」です。
提供しているサービスは不動産業者によって異なり、購入希望者をより多く集めるサービスや、売却保証など様々なサービスがあります。
例えば、ライオンズマンションで有名な大京穴吹不動産は以下のようなサービスを提供しています。
サービス名 | 内容 |
---|---|
お荷物お預かり | 一時的に荷物を預かり、片付いた部屋で売却活動ができる |
プロカメラマン撮影 | 各広告媒体で使用する写真をプロカメラマンが撮影する |
ホームステージング | 家具や小物を美しく演出して売却活動できる |
設備保証 | 売却後に住宅の設備に不具合が生じ場合費用を負担してくれる |
24時間駆けつけサービス | 水漏れや鍵の紛失などの「困りごと」を24時間サポートしてくれる |
即時買取 | 不動産を直接買い取りしてくれる |
買取保証 | 一定期間内に売却できなかった場合、不動産を直接買い取りしてくれる |
買取賃貸居住サービス | 直接不動産を買い取り、売却後に賃貸としてそのまま住み続けられる |
このように、不動産業者はそれぞれ特徴のあるサービスを提供していますので、自分の目的に沿ったサービスを提供している業者に売却を依頼することで、スムーズな不動産売却活動ができます。
担当者が信頼でき、相性が合うか
前章では、不動産会社の力量という面でポイントを挙げましたが、最終的には、担当者とのフィーリングという面も重要な判断基準になります。
不動産売却は数ヶ月続く長期戦です。そんな時に何でも相談できる担当者かどうかというのは、非常に大切になってきます。
あなた自身が感じる感覚的なものもありますが、ポイントとしては下記のとおりです。
①宅建士の資格を持っていない・売却仲介経験が浅い営業マンはNG
「信頼できるかどうか」という点で分かりやすい指標が、宅建士の資格を持っているか・売却仲介経験が豊富かどうかです。
宅建士の資格を持っていれば、不動産取引の専門家として一定以上の知識を保有している証明になります。
営業マンの名刺に宅建士の資格に関する情報が書かれているはずなので、実際に会った時に確認してみてください。
また、宅建士の資格があって知識を持っていても実務ができない営業マンもいます。
なので、実際に売主と関わり仲介を行ってきた実績がある営業マンを選ぶのがオススメです。
②売主の話を親身になって聞いてくれるか?
売主の話を聞かなかったり、自分の思い込みを押し付けたりするような不動産会社は良い結果を出すとはいい難いです。
このような不動産会社は、売る努力をせず、売れない理由を物件や市場環境のせいにするNG業者です。
良い業者を選ぶには、売主である自分たちの話をきちんと聞いてくれるかといった視点から選ぶのが失敗しない不動産会社の選び方になります。
不動産売却というのは、どの不動産にも個性が有り、どの売主にも個別事情があります。
つまり毎回事情が違うものを売る訳ですから、毎回違う売却戦略が考えられるわけです。
最適な売却戦略は、売主からしっかりしたヒアリングをしないと立案できません。
相談しやすい、担当者を選ぶようにしましょう。
③言葉遣いやマナーは適切か?
不動産仲介業はサービス業で、メール、電話、訪問査定時の言葉使いやマナーがしっかりしていることは、担当者選びの重要なポイントです。
「約束を守らない」「言葉遣いが乱れている」「身だしなみや服装が乱れている」に該当するような担当者とは、信頼関係を築くことは難しいです。
また、担当者の接客態度やマナーの悪さは、売主側だけに影響する問題ではなく、買主にも影響を与えることがあります。
言葉遣いやマナーが悪い担当者のせいで、売れるはずの物件が売れなくなってしまう事態を避けるために、ごく普通の「人として」ふさわしい言葉遣いができる担当者であるかチェックするようにしましょう。
不動産会社を選ぶときの3つの注意点
ここまで、業者選びのポイントを解説してきましたが、ここでは、実際に選ぶ際の注意点について見ていきます。
不動産会社を選ぶ時の3つの注意点
査定依頼は必ず2社以上で比較する
前章で、様々なポイントを解説してきたので、予想できると思いますが、最初から1社に狙いを定めて理想の会社と出会うというのはとても難しいです。
必ず複数社に査定依頼をして、比較検討しながら、良い会社に厳選していきましょう。
筆者としては、下記の進め方で絞り込みながら、業者探しを進めていくことをオススメします。
業者探しの進め方
- 5社以上を目安に机上査定依頼
- 机上査定の結果を比較検討し2~3社に厳選
- 厳選した会社に対して訪問査定を依頼
- 訪問査定の結果を比較検討し最終的に依頼する不動産会社を決める
- 契約を決めた不動産会社と一緒に売却活動を開始
最初の査定依頼で、複数の不動産会社に訪問査定を依頼するのはスケジュール調整面でとても大変です。
最初は机上査定を複数の不動産会社に依頼しましょう。
- 机上査定とは、不動産を見ずに登記簿謄本や地図等の資料だけで行う査定
- 訪問査定とは、机上査定の資料に加え、実際に物件を見て行う査定
契約時は、専任媒介契約にしない
実は不動産会社との契約には3種類の契約方法があり、詳細を知らないことで損してしまうケースがあります。
- 一般媒介契約:契約を締結した不動産会社以外でも売却活動はOK。自ら他の不動産会社を探して売却活動してもOK。
- 専任媒介契約:契約を締結した不動産会社としか売却活動できない。自ら他の不動産会社を探してもOK。
- 専属専任媒介契約:契約を締結した不動産会社としか売却活動できない。自ら他の不動産会社を探して売却相談も認められない。
結論としては、「一般媒介契約」を選択するのがオススメですが、初めての不動産売却では不動産会社の言われたままになり、「専任」契約をしてしまう人がいます。
これは筆者から言わすと「大きな落とし穴」です。
専任契約系にしてしまうと、不動産一括査定を使った意味がありません。
必ず「一般媒介契約」にして、複数の不動産会社を競争させてください。
そうすることで各不動産会社も一生懸命に活動してくれるようになります。
仮に、たちの悪い不動産会社と専任媒介契約を締結してしまった場合には、3ヶ月間の契約期間が切れるのを待つ必要があります。
たちの悪い不動産会社は、3ヶ月の間、大した売却活動をせず、売主に諦めさせて、思いっきり値下げを要求し、最後には買取業者に買い取らせるということもあります。
最初から買取業者へ買い取らせるシナリオが決まっている可能性もありますので、注意が必要です。
不審に感じたら、値下げ要求には応えず、とりあえず契約期間が過ぎるのを待ちましょう。
そして新たに契約ができるようになった時点で、一般媒介契約に切り替え、複数の不動産会社と契約するようにしましょう。
仲介手数料は業者によって異なる
仲介手数料については、宅地建物取引業法において不動産会社が受領できる報酬の金額の上限が定められています。
不動産会社が受け取ることのできる報酬は、国土交通省の告示によりその限度額が以下のように定められています。
取引額※1(売買金額) | 仲介手数料の上限額(税抜きの速算式) |
---|---|
200万円以下 | 5%(18万円※2) |
200万円超から400万円以下 | 4%+2万円(18万円※2) |
400万円超 | 3%+6万円 |
※1.取引額は、物件の本体価格をいい、消費税を含まない価格を指します。
※2.空き家などの現地調査が必要な取引の場合(2018年より施行 出典:国土交通省より)
また、仲介手数料は消費税の課税対象となるため、さらに消費税が加算されます。
しかし、仲介手数料の下限は定められていないので、仲介手数料がいくらなのか事前に確認しておきましょう。
不動産売却は不動産一括査定の活用が鉄則
良い不動産業者に出会うためには、複数の業者に査定依頼する必要があります。
しかし、一つずつ査定依頼をしていると時間と手間がかかってしまいます。
そこで不動産一括査定を使うことで、複数の業者にまとめて査定することができます。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。
その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。
筆者は何度も不動産一括査定を利用しています。
下記は「すまいValue」を利用して「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所の住まいリレー」より、査定結果をもらった写真です。
下記表が「不動産売買の仲介件数が多い不動産会社」が「どこの不動産一括査定に参加しているのか」を調査した結果です。
少し細かいので、流し読みする程度で大丈夫です。
これを見ると、上位4社がずば抜けているのが分かると思います。
正確にはセンチュリー21はフランチャイズ経営なので、「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」の3強ということです。
不動産売買は超大手に偏っている
「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」が超大手と言われる不動産会社です。
超大手不動産会社3社で不動産仲介の約30%のシェアを持っています。つまり、不動産売買した人の中で3人に1人は、「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」のどこかに仲介を依頼していることになります。
それだけ日本の不動産売買は、超大手不動産会社に偏っているということ。
超大手不動産会社は販売活動に強く、豊富な買主を持っており、売りやすいとも言えます。
そしてこの3社に唯一依頼できるのが「すまいValue」です。なので「すまいValue」は外せません。
超大手不動産会社だけではなく大手・中堅・地域密着の会社とも比較する
ただ、超大手だけで満足してはダメ。不動産業界は特殊な縄張りなどもあり、A地域はX不動産が強い、B地域はY不動産が強いということが存在します。
また、超大手になるほど両手仲介の比率が高まります。
両手仲介とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと。買主と売主から手数料をもらえるため、利益相反の関係になる。アメリカは両手仲介は禁止されています。
売却を成功するためにも超大手不動産会社と併せて大手・中堅や地域密着の不動産会社も比較することをオススメします。
その場合は下記のような使い分けがいいでしょう。
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。
どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。
不動産一括査定サイト名 | 机上査定が対応 | メール要望 |
---|---|---|
すまいValue | ○ | ○ |
SUUMO | ○ | ○ |
HOME4U | ○ | ○ |
イエウール | × | × |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | × | ○ |
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
まとめ
失敗しない不動産会社の選び方について見てきました。
売主の想いをしっかり聞いて、売却方法も提案してくれるような不動産会社が良い会社と言えます。
「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」などの一括査定を使い一般媒介で複数の不動産会社と契約するのが良いでしょう。