両手仲介とは?売主が損をしてしまう理由と対処法を紹介

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両手仲介とは?売主が損をしてしまう理由と対処法を紹介

売主にとっては、どうしても両手仲介が問題となってしまいます。

両手仲介では、売主が囲い込みを受けやすく、損をするのは売主、得をするのは買主となります。

両手仲介の問題が後を絶たないのは、根本的には売主の知識不足が原因です。

知識を持っていれば、不動産会社による囲い込みは、確実に防げます。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • そもそも両手仲介って何なの?
  • 両手仲介だと、どうして売主に不利なの?
  • 両手仲介を防ぐには、どうしたらいいの?

そこでこの記事では、「両手仲介とは」ということにフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、両手仲介とは何かということや、売主が取り得る防衛策について知ることができます。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.両手仲介と利益相反の関係について

両手仲介とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと

それに対して、売主と買主が別々の仲介会社となることを業界用語で「分かれ」と言います。

日本では両手仲介は合法ですし、不動産会社が両手仲介を行っても問題になることはありません。

個人が売主となる不動産売却では、両手仲介が行われているケースの方が多いです。

あまりにも普通のことであるため、疑問に感じない人も多いですが、冷静に考えてみると、両手仲介は実は不思議な仲介となっています。

売買では、売主は高く売りたい、買主は安く買いたいという思惑があります。

仲介というのは、

  • 売主側に立つ不動産会社は高く売ることに尽力
  • 買主側に立つ不動産会社は安く買えることに尽力

するのが理想。

それが両手仲介となると、

  • 高く売りたい売主側に立てば安く買いたい買主を犠牲
  • 安く買いたい買主側に立てば高く売りたい売主を犠牲

にすることになります。

両手仲介は利益相反行為となる

このように、どちら一方の利益に立つと、もう一方が不利益となるような行為を利益相反行為と呼びます。

利益相反は1人が利益の真っ向から対立する双方の代理となることで発生

このような代理を双方代理と呼んでいます。

海外では、両手仲介は双方代理となるため、禁止している国もあります。

両手仲介は利益相反行為となり、矛盾した立場の仲介といえるのです。

以上、ここまで両手仲介と利益相反について見てきました。

では、両手仲介は何が問題なのでしょうか。

2.両手仲介の問題は「囲い込み」

両手仲介の問題は売主の「囲い込み」にあります。

囲い込みとは、売主側の不動産会社が買主を囲い込むこと

両手仲介そのものは、それほど大きな問題ではありません。

売主としても高く売れた、買主としても安く買えたという結果が、たまたま両手仲介であれば問題ないはず。

売主と買主にとって、ベストな結果が両手仲介だったということはあり得ます。

両手仲介というのは、あくまでも仲介の最終的な結果であり、それが双方満足のいく取引であれば問題ないのです。

しかしながら、最初から両手仲介ありきで、売主が囲い込みにあえば、問題はあるといえます。

囲い込みの実態

具体的には、売主の売物件情報に関し、他の不動産会社からの購入申込を一切断るような行為が囲い込みです。

仲介では売り主側の不動産会社を元付業者、買主側の不動産会社を客付業者と呼んでいます。

例えば、「甲」という6,000万円の物件をA社が元付業者として売り出しているとします。

その甲を見て、B社が「当社のお客様で甲を6,000万円で買いたいという人がいるのですが、客付けさせてくれませんか?」と申出をします。

もし、A社がこの申出を了承すれば、B社は客付業者となり、仲介は分かれとなります。

しかしながら、A社には自分で探せば両手仲介を狙える可能性が残っています。

両手仲介になれば売主と買主の両方から仲介手数料をもらえるため、売上が2倍になります。

そこで、A社はB社の申出に対し、「もう当社で決まりそうだから断ります」と嘘をついて申出を断るケースがあります。

これがいわゆる「囲い込み」です。

その後、A社は両手仲介を狙って自力で買主を探します。

ただ、A社がなかなか買主を見つけることができなければ、売主に値下げを要求するようなこともあります。

売主に5,500万円まで下げるようにお願いし、5,500万円の買主を連れてくるというようなケースです。

結果として、A社はB社の6,000万円の買主を断り、5,500万円で両手仲介を成立させました。

甲の売主は囲い込まれていたため、A社がB社から6,000万円の話があったことすら知りません。

本当はもっと早く6,000万円にも関わらず、囲い込まれたため、時間がかかって5,500万円でしか売却できなかったということになります。

このように、元付業者に両手仲介狙いで囲い込まれてしまうと、高く早く売れるチャンスを逃してしまうのです。

囲い込みは、売主にとって非常に問題となることを理解しておきましょう。

以上、ここまで両手仲介の問題は「囲い込み」であることについて見てきました。

では、両手仲介は誰にとって有利なのでしょうか。

3.両手仲介は売主に不利で買主に有利

両手仲介は売主に不利で買主に有利となります。

両手仲介を行うのは、基本的に売主側に付いている元付業者。

客付業者は、既に元付業者が扱っている物件に対して購入の申出をするため、両手仲介とはなり得ません。

両手仲介は、基本的に売主側で端を発して起こりうる現象なのです。

例えば、元付業者が扱っている4,000万円の売り物件に、3,800万円の購入希望者が現れたとします。

3,800万円で両手仲介ができたら、仲介手数料は売主から120万円(=3,800万円×3%+6万円)、買主から120万円の計240万円となります。

4,000万円で分かれとなった場合には、126万円(=4,000万円×3%+6万円)ですので、両手仲介の240万円とは大きな違いです。

元付業者としては、値引してでも売買を成立させ、両手仲介を取った方が得になります。

そのため、3,800万円の購入希望者が現れれば、なんとか売主を説得して売買を成立させようとするのです。

このように、両手仲介を目前とすると、元付業者は買主の意向を尊重して値引してでも売買を成立させようとします。

これは典型的な利益相反行為です。

そのため、売主は値引を受けて損をしますが、買主は値引が成功するため得をするのです。

囲い込みや両手仲介の問題は、買主の問題ではなく、売主の問題といえます。

以上、ここまで両手仲介は売主に不利で買主に有利であることについて見てきました。

では、なぜ囲い込みという状態が起きるのでしょうか。

4.囲い込みの原因は専任媒介

囲い込みの原因は専任媒介契約または専属専任媒介契約にあります。

媒介契約とは不動産会社に依頼する仲介の契約のこと

媒介契約には、「専任媒介」「専属専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。

専任媒介と一般媒介の違い

専任媒介と一般媒介の違い

  • 「専任媒介」と「専属専任媒介」は1つの不動産会社にしか仲介を依頼できない契約です。
  • 「一般媒介」は、複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約となります。

「専任媒介」と「専属専任媒介」は、自己発見取引ができるかどうかが違います。

自己発見取引とは依頼者が自ら契約当事者を見つけてくる行為

「専任媒介」では自己発見取引は認められ、「専属専任媒介」では自己発見取引すら禁止されています。

「専任媒介」と「専属専任媒介」では、元付業者が売主側からの仲介手数料を独占できる状態であるため、囲い込みがしやすくなります。

邪魔が入りませんので、買主さえ見つけてしまえば両手仲介は成立です。

一般媒介契約にすると両手仲介は起こりにくくなる

一方で、「一般媒介」では他の不動産会社も元付業者となっていますので、売主から仲介手数料を取れるかどうかは、売買を早く成立させた早い者勝ちとなります。

仲介手数料は成功報酬ですので、一般媒介で依頼しても、売買を成立させた不動産会社のみ受領することができます。

媒介契約のイメージ図

媒介契約のイメージ図

一般媒介となると、元付業者は流ちょうに囲い込みなど行っている余裕がありません。

客付業者の協力を得て、分かれでも仲介を決めた方が得になります。

仲介手数料がゼロになるくらいなら、分かれでも仲介手数料をもらった方が得だからです。

一般媒介契約でも囲い込みは発生する可能性あり

一般媒介であっても、結果が両手仲介となることはあり得ます。

何社かに仲介を依頼し、一番高い価格の買主を連れてきた不動産会社が、結果的に両手仲介だったということもあるのです。

つまり、両手仲介イコール囲い込みではありません。

「専任媒介」や「専属専任媒介」が囲い込みの原因となり、結果的に両手仲介になるということになります。

問題視されるべきなのは囲い込みであって、その原因は「専任媒介」や「専属専任媒介」にあるということを理解しておきましょう。

媒介契約については下記記事で詳しく解説しています。

不動産売買時に締結する3つの媒介契約(一般・専任・専属)と特徴・違い
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媒介とは仲介やあっせんのことです。 一般的には仲介と言うことの方が多いですが、法律用語で仲介のことを媒介と呼んでいます。 ...

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以上、ここまで囲い込みの原因は専任媒介であることについて見てきました。

では、囲い込みを防ぐ方法はあるのでしょうか。

そこで次に、囲い込みの防衛策について解説いたします。

5.囲い込みの防衛策は一般媒介契約にする

囲い込みの防衛策は、一般媒介で依頼すること

一般媒介であれば、元付業者には競争関係が生まれますので、囲い込む余裕がなくなります。

不動産会社は、必死になって、なんとか早く少しでも高い買主を見つけてこようとします。

一般媒介は売主にとって有利な契約形態であり、それを使わない手はありません。

最近、インターネットで「一般媒介が売主に有利なのは昔の話であって、今は専任媒介の方が有利」と書かれた記事を見て驚きました。

変なサイトが急増中のようですが、今も昔も売主にとって有利なのは絶対に一般媒介です。

媒介契約というのは、売主に有利なのは一般媒介、買主に有利なのは専任または専属専任媒介と明確に決まっています。

それでも、不動産会社はあの手この手で専任または専属専任媒介を要求するので、多くの売主は専任または専属専任媒介で契約してしまいます。

しかしながら、囲い込みを防ぐには、一般媒介にするしかありません。

一括査定サイトを使って一般媒介にするのが成功する秘訣

そのためには、無料の一括査定サイトを使って、査定に訪れた全ての不動産会社に一般媒介で依頼するのが一番良い方法となります。

無料の一括査定サイトなら、不動産会社も最初から他の不動産会社と競合関係にあることが分かっています。

依頼者が最初から一般媒介にするというスタンスであれば、不動産会社も割り切って対応してくれます。

一般媒介だからやる気をなくすような不動産会社は放っておけば良いのです。

気にせず、一括査定を使って訪れた不動産会社には一般媒介を依頼し、不動産を早く高く売ることをオススメします。

一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス

一括査定サービスの仕組み

一括査定サービスの仕組み

複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。

一括査定の流れ

一括査定の流れ

一括査定サイトのオススメは 「すまいValue」「HOME4U」

不動産一括査定は筆者が知っているだけでも30はあります。

その中でも

の4つを特にオススメしています。

筆者も不動産一括査定(「 すまいValue 」「 HOME4U 」「 イエウール 」)を利用しました。

下記は「 すまいValue 」を利用して「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所ハウスネット」より、査定結果をもらった写真。

とても分厚い査定書を見ながら、3社ともに丁寧に説明をしていただきました。

不動産査定書を3社より入手

不動産査定書を3社より入手

下記表が「不動産売買の仲介件数が多い不動産会社」が「どこの不動産一括査定に参加しているのか」を調査した結果です。

少し細かいので、流し読みする程度でOKじゃぞ!
フクロウ先生
フクロウ先生
不動産一括査定×不動産会社のマッチング表

不動産一括査定×不動産会社のマッチング表

ひよこ生徒 解決
ひよこ生徒
こう見ると、上4つがずば抜けているんですね!
正確にはセンチュリー21はフランチャイズ経営なので、「三井不動産」「住友不動産」「東急リバブル」の3強じゃよ!
フクロウ先生
フクロウ先生

不動産売買は超大手に偏っている

「三井不動産リアリティネットワーク」「住友不動産販売」「東急リバブル」が超大手と言われる不動産会社です。

超大手不動産会社3社で不動産仲介の約30%のシェアを持っています。つまり、不動産売買した人の中で3人に1人は、「三井不動産リアリティネットワーク」「住友不動産販売」「東急リバブル」のどこかに仲介を依頼していることになります。

それだけ日本の不動産売買は、超大手不動産会社に偏っているということ。

超大手不動産会社は販売活動に強く、豊富な買主を持っており、売りやすいとも言えます。

そしてこの3社に唯一依頼できるのが「 すまいValue 」です。なので「すまいValue」は外せません。

超大手不動産会社だけではなく大手・中堅・地域密着の会社とも比較する

ただ、超大手だけで満足してはダメ。不動産業界は特殊な縄張りなどもあり、A地域はX不動産が強い、B地域はY不動産が強いということが存在します。

また、超大手になるほど両手仲介の比率が高まります。

両手仲介とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと。買主と売主から手数料をもらえるため、利益相反の関係になる。アメリカは両手仲介は禁止されています。

売却を成功するためにも超大手不動産会社と併せて大手・中堅や地域密着の不動産会社も比較することをオススメします。

その場合は下記のような使い分けがいいでしょう。

不動産一括査定の賢い使い方

不動産一括査定の賢い使い方

不動産一括査定の賢い使い方

売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能

紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。

また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額提示を希望」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。

ご要望・ご質問の欄にメールでの査定額を希望

ひよこ生徒 困り
ひよこ生徒
どの一括査定なら「机上査定」「メール要望」が使えるんですか?
下記に比較してまとめてみたぞ!
フクロウ先生
フクロウ先生
一括査定机上査定備考欄
すまいValue
HOME4U
イエウール  
SRE不動産(※旧ソニー不動産)

一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく説明しています。

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6.まとめ

両手仲介とは何かということや、売主が取り得る防衛策について見てきました。

両手仲介そのものは問題ではありませんが、囲い込みは問題といえます。

囲い込みを防ぐには、一括査定サイトを使って全社に一般媒介で依頼するのが一番合理的。

囲い込みは一般媒介で防げますので、しっかりと売主に有利な媒介契約を選択するようにしましょう。

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